
31日、高市早苗首相と中国の習近平国家主席による首脳会談が行われる見通しとなる中、習主席の「表情外交」に注目が集まっている。これまで習主席は、歴代の首相との会談で表情や身ぶりを通じて、中国の対日姿勢を示唆してきたとされる。
『日本経済新聞』は同日、慶州(キョンジュ)を訪問中の高市首相と習主席の会談に焦点を当て、「中国外交では首脳の表情やしぐさも相手国への重要なメッセージとなる」と指摘。「習主席が高市首相との初会談でどのような態度を見せるかが注目される」と報じた。また、「今回の初会談における習主席の姿勢は、今後の対日政策の方向性を占うシグナルになる」との見方も伝えた。
習主席は2013年3月の国家主席就任以降、故安倍晋三氏、岸田文雄氏、石破茂氏の歴代首相といずれも首脳会談を行ってきた。
安倍元首相は、日中交流が事実上途絶していた2014年11月、北京で開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に出席した。当時、習主席は会談前の撮影で硬い表情を崩さず、安倍氏が声をかけても無言のまま正面を見据えていた。
会談自体も安倍氏の要請で実現したものの、時間は25分にとどまり、会場には本来掲げられるべき両国の国旗が掲げられなかった。中国側は通常同席する政治局員2人を外し、意図的に会談の「格」を下げたとされる。
『日経』は「習主席が初会談で無表情を貫いたのは、当時の冷え込んだ日中関係を象徴していた」と分析。背景には、2012年に民主党政権が尖閣諸島を国有化したことに中国が強く反発し、2013年12月に安倍氏が靖国神社を参拝したことで、関係悪化が決定的となった経緯がある。
一方、2022年11月にタイ・バンコクで岸田文雄元首相と初めて会談した際、習主席は笑顔を見せた。岸田氏は自民党内で穏健な外交姿勢と対中対話を重視する「宏池会(岸田派)」を率いてきた。
2024年11月、ペルー・リマで石破茂元首相と初めて会談した際も、習主席は柔らかい表情を見せた。石破氏は在任中、靖国神社参拝にこだわらず、過去の無謀な戦争と向き合う姿勢を示してきたとされる。
こうした「表情による外交」は、習主席に限ったものではない。胡錦涛前国家主席も2010年11月、横浜で行われた菅直人元首相との会談で無表情を貫いた。この年9月、尖閣諸島沖で操業していた中国漁船が海上保安庁の巡視船と相次いで衝突し、両国関係が悪化していた。
胡前主席は2005年4月、インドネシア・ジャカルタで小泉純一郎元首相と会談した際も、硬い表情を崩さなかった。同年3~4月には、中国各地で日本の歴史教科書や首相の靖国神社参拝をめぐる反日デモが相次いでいた。
中国国営の『新華社』は今月21日、高市首相の歴史認識について「明確な右翼的立場を取っている」と指摘。長年にわたり靖国神社への参拝を続け、植民地支配への反省と謝罪を示した村山談話に批判的な姿勢を示してきたと紹介した。
また、習主席が高市首相就任時に祝電を送らなかった点にも注目が集まっている。2013年の国家主席就任以降、習主席は菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏の各首相には就任当日に祝電を送っていたが、高市氏には異例にも自身名義の祝電を出していない。
 
            


















コメント0