
アメリカのドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席が両国の対立の火種を鎮めた。懲罰・報復的な貿易措置の一部を撤回することで合意したが、今後の紛争再発の可能性は残っているという分析が出ている。
ニューシスの報道によると、トランプ大統領は30日、米中首脳会談直後のエアフォース・ワンでのブリーフィングで、中国と▲レアアース供給再開、▲アメリカ産大豆輸入再開、▲対中国フェンタニル懲罰関税10%引き下げなどで合意したと明らかにした。これは、今年4月に貿易紛争が発生して以来、約6か月ぶりの合意となる。
今回の会談結果は、ある程度予想されていた。スコット・ベッセント米財務長官とホー・リーフォン中国国務院副総理両国首脳は、首脳会談に先立ちマレーシアで会談し、レアアース輸出規制と対中国追加関税の猶予で暫定合意していた。
かつて貿易断絶に近い相互100%以上の高率関税を課していた両国の合意は、それぞれの利害に基づく戦略的な動きと見られる。中国はアメリカという巨大な輸出市場を必要としており、アメリカはレアアース問題で即座に中国と決別することは難しい。
APは「(アメリカと中国のどちらも)自国の将来を危うくするような形で世界経済に打撃を与えるリスクを冒したくない」と述べた。これは、世界最大の経済大国2国間で無限の対立が続けば損失が大きいことを意味している。
慶州アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を機に同時期に韓国を訪れた両首脳は、今回の合意でそれぞれの面子を保った。しかし、この合意が一時的な取り繕いに過ぎず、今後の対立再燃の可能性は依然としてあるという見方が支配的だ。
デニス・ワイルダー元中央情報局(CIA)東アジア・太平洋担当副局長は、フィナンシャル・ニュース(FT)に対し「今回の会談後に進展があまりない場合、両側とも輸出規制と関税への回帰を脅しとして使う可能性がある」と指摘した。
これに関連して、トランプ大統領はこの日の機内ブリーフィングで「レアアースに関してすべてが合意に達した」と述べた。しかし、中華人民共和国商務部は会談結果を発表する際、レアアースという直接的な言葉の代わりに「10月9日措置」というやや婉曲的な表現を用いた。
AP通信によると、米中は製造業や人工知能(AI)などの先端技術分野で支配的地位を確立しようとしている。世界の産業・技術覇権をめぐる両国の競争において、今回の合意は短期的な安定に過ぎないと見られる。
一方、トランプ大統領はこの日、「台湾問題は会談の議題に上がらなかった」と明言した。ウクライナ戦争については協力で合意したが、ロシア産原油に関する内容は合意に含まれなかった。
これもまた、合意の脆弱性を示していると見ることができる。このほか、TikTok問題についてトランプ大統領は特に言及せず、中華人民共和国商務部は「適切に解決する」と述べた。アメリカ側は訪韓期間中にTikTok合意の完了を予告していた。
シンクタンク「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」所属のスー・ウェイ首席エコノミストは、「今回の合意の構造的基盤はまだ脆弱である」と評価した。ただし短期的には、両国とも合意を維持し、善意を示すだろうと予想している。














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