
ドナルド・トランプ米大統領の看板経済政策である「高関税政策」の行方を左右する米連邦最高裁の審理が今週始まる。トランプ大統領は本件を「米国史上最も重要な事件の一つ」と強調し、自ら最高裁に出廷する可能性も示唆した。
『CNN』が2日(現地時間)に報じたところによると、米連邦最高裁はトランプ大統領の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく関税賦課権限をめぐる口頭弁論を、5日に開始するという。審理では、同法を根拠に大統領が世界各国からの輸入品に高率の関税を課すことが合憲かどうかが争点となる。
トランプ大統領はこれまで、インドやブラジルなど主要貿易国に最大50%、中国には最大145%の関税を課してきた。
『CNN』は「最高裁がトランプ氏の主張を認めなくても、既存の関税が直ちに撤廃されるわけではないが、経済戦略全体が揺らぐ可能性がある」と指摘している。
米税関・国境警備局(CBP)によると、9月23日までに企業が納付したIEEPA関税の総額は約900億ドル(約14兆円)に達し、これは2025会計年度(9月30日終了)の関税収入全体の半分以上を占めるという。
トランプ大統領は今月初め、『フォックス・ビジネス』のインタビューで「最高裁で敗訴すれば、企業にこれまで徴収した分を返還しなければならない」と述べた。審理は数カ月にわたる見通しで、企業はその間も関税を支払い続ける必要があり、返還対象額はさらに膨らむ可能性がある。ただし、返還手続きは複雑で長期化が見込まれ、すべての企業が返還を受けられるとは限らない。
貿易専門の弁護士らは「最高裁がIEEPA関税を違法と判断した場合、どの企業が返還対象となるかを個別に決定する可能性が高い」と『CNN』に語っている。
トランプ大統領は「即時関税引き上げ」という圧力を外交カードとして用い、各国を交渉のテーブルに引きずり出してきた。これにより、米国製品の購入拡大や米国内投資の増加、米製品への関税引き下げなどの譲歩を引き出した。しかし、最高裁が大統領権限を制限する判断を下した場合、主要貿易国が再交渉を求めたり、報復関税に踏み切る可能性もある。
現在、トランプ大統領はIEEPAのほかにも「通商拡大法232条」を根拠に、国家安全保障上の理由から特定産業に高関税を課す措置を実施している。対象は自動車、鉄鋼、アルミ、銅、家具など多岐にわたり、他の品目に対する追加措置も検討中だ。
『CNN』は「最高裁がどのような判断を下すにせよ、トランプ氏は232条など別の法的手段で関税を維持することはできるものの、IEEPAのように大統領の一声で即座に税率を変えられる迅速な権限は失う可能性が高い」と伝えている。














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