
トランプ米大統領が核実験の再開を指示したことを受け、クレムリンは30日(現地時間)、ロシアも同様の対応を取る可能性を明らかにした。
『タス通信』などによると、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は同日、トランプ大統領の国防総省への指示に関連して「米国は主権国家として、主権に基づく決定を下す権利がある」と述べた。さらに「しかし、プーチン大統領が繰り返し示してきた立場を思い出してほしい」と指摘し、「誰であれ核実験の猶予を破れば、ロシアは同等の方法で対応する」と述べた。
この発言は、米国が核実験を再開した場合、ロシアも同様に核実験を行う意向を示したとみられる。
また、ペスコフ報道官は、トランプ大統領が「ブレヴェスニク」の試験を核実験として言及したことについて、「いかなる形であれ、それは事実と異なる」と主張、「核実験には該当しない」と繰り返し強調した。
26日、ロシアは核推進巡航ミサイル「ブレヴェスニク」の試験発射に成功したと発表した。プーチン大統領は軍服姿で成功を報告し、「世界のどこにもない独自の兵器」と誇示した。
このためトランプ大統領の核実験再開指示はロシアを意識した発言とも受け取られたが、クレムリンはその見方を否定した。
ペスコフ報道官は来年2月に期限を迎える新戦略兵器削減条約(New START)を1年間延長しようとするロシアの提案に対し、米国が応答していない点も指摘。「米国から実質的な提案はない。ここで話すべき進展はない」と述べた。
また、新戦略兵器削減条約の延長と核実験再開は「テーマが少し異なる」と指摘した。
ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官は同日のブリーフィングで、「ブレヴェスニク」の開発は避けられないものであると主張した。
ザハロワ報道官は「ロシア指導部が繰り返し示してきた通り、その開発は戦略的均衡を維持するためのやむを得ない措置だ」と述べた。さらに、「特にわが国は、ミサイル防衛分野でますます不安定を招くNATO(北大西洋条約機構)の行動に対応せざるを得ない状況にある」と強調した。
トランプ大統領は30日、自身のSNSで「米国はどの国よりも多くの核兵器を保有している」と投稿、核実験を開始するよう指示したと発表した。
さらに、「ロシアは2位、中国は大きく遅れた3位だが、5年以内には米国を追い越すだろう」と述べ、「他国の核実験プログラムに対応して、国防総省に同等の基準で核実験を開始するよう指示した。この手続きは直ちに始まる」と付け加えた。
米議会図書館によると、米国は1992年に核爆発実験を中止して以来、最後の核実験は同年9月にネバダ州で行われ、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が地下核実験の中止を宣言した。
中国は1996年、ロシアは1990年以降、核爆発実験を実施していない。ただし、核運搬能力の現代化は進められている。
米国は核拡散防止条約(NPT)の加盟国であるが、核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)は批准していない。仮に核実験に踏み切った場合、条約違反にはならないが、国際的な非難や波紋は大きくなると予想される。














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