
『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)の寄稿者150人余りが、NYTのオピニオン欄に記事を書かないと宣言した。NYTがイスラエルのパレスチナ占領と大量虐殺を隠蔽する報道や人事政策を展開してきたとし、この報道方針を撤回しない限り「寄稿の形で協力しない」というボイコット運動だ。
NYTに寄稿したり、インタビューなどを受けたりした作家、学者、著名人など300人余りが、先月28日に「大量虐殺はオピニオンの問題ではない」というタイトルの宣言文を発表し、NYTのオピニオン欄に記事を書かないという宣言に署名した。彼らは「NYTが偏向報道に対する責任を取り、米国-イスラエルのガザ戦争を真実かつ倫理的に報道するという約束をするまで、ニュースルームや編集委員会に対するいかなる一人称エッセイ形式の挑戦も、事実上この不適切な慣行を継続することを許すことになる」と述べた。
署名者たちは、署名の趣旨を紹介しながら「ここ数年、NYTは崩壊しつつある評判を回復するために、ますますゲスト・エッセイスト(外部寄稿者)に依存してきた。オピニオン編集者たちは、尊敬される分野別の専門家たちを募り、彼らの多様な視点(しばしば形式的な象徴的意味で活用されることもある)を新聞内部の保守主義に対する均衡錘としている」とし、「これらのゲスト・エッセイストたちの声、専門性、フリーランスの労働なしには、オピニオン欄は完全に無価値になるだろう」と述べた。
NYTオピニオン寄稿中止を宣言した300人の中には、気候活動家のグレタ・トゥーンベリ氏、ラシダ・タリーブ米下院議員、ADHDと依存症関連の研究で世界的に知られる精神科医のガボール・マテ氏、小説『シンパサイザー』でピューリッツァー賞を受賞したヴィエト・タン・ウェン氏、小説『ノーマル・ピープル』の作家サリー・ルーニー氏など、寄稿者150人も含まれている。NYTの特派員だったピューリッツァー賞受賞者のクリス・ヘッジズ氏やモナ・チャラビ氏、サナ・サイード氏などの有名ジャーナリストも名を連ねた。
寄稿拒否宣言文は、イスラエル軍に殺害されたパレスチナのジャーナリスト、ホッサム・シャバット氏の文章を引用して始まった。彼は殺害される数ヶ月前に「言語は大量虐殺を正当化させる。我々が243日目も爆撃を受けている理由の一つは、NYTと大半の西側メディアのせいだ」と書いていた。
署名者たちは「武器製造業者に劣らず、メディアもまた戦争の機械装置の一部だ」とし、「米国でNYTほど影響力の大きい新聞はない」と述べた。NYTが1953年イラン・クーデター、2003年イラク戦争、2011年リビアなど、歴史的に致命的な外交政策の形成に決定的な役割を果たしてきたとし、今やNYTがイスラエルの戦争犯罪を正当化し、反パレスチナの偏向と人種差別的報道を続けてきたと批判した。
寄稿者たちは続けて「NYTはイスラエル当局者の露骨な嘘をそのまま転載し、イスラエル領事館や親イスラエルのロビー団体の要求に従って報道を省略したり修正したりした」とし、「報道においてイスラエル政府の主張は事実として扱われる一方、大量虐殺はオピニオン面で『議論の的』に矮小化される」と述べた。NYTが記者たちにガザ地区内の大量虐殺に関連して「虐殺(slaughter)」「民族浄化(ethnic cleansing)」「占領地(occupied territory)」などの単語の使用を避けるよう指示した点も指摘した。NYTの主要な経営陣・編集者・記者たちがイスラエルと物質的な利害関係を結ぶ一方、アラブ系とムスリムの従業員は「魔女狩り」を経験し、追放されるなど、NYTの人事政策にも一貫した基調が続いてきたとも述べた。
彼らは「この新聞が名声を維持し、評判の毀損を緩和し、多様性・公平性・包摂性の外観を宣伝しようとする主要な経路の一つがまさにオピニオン欄だ」とし、「我々は過去の寄稿者であり、小説家・エッセイスト・学者・弁護士・詩人・政治アナリスト・公的人物として、この(寄稿)招待を拒否する」と述べた。
続けて「現場で起きている最も恐ろしい事実、例えばイスラエルが子供たちを組織的に狙撃しているという事実をオピニオンとしてのみ扱うようにすることは、ジャーナリズム倫理の破壊だ」とし、「NYTが自社の報道の偏向に対する責任を取り、米国とイスラエルの戦争を真実かつ倫理的に扱わない限り、一人称エッセイ寄稿の形でこの新聞に挑戦することは、事実上このような非倫理的な行為を承認することになる」と述べた。「我々は労働を拒否することによってのみ、NYTが米国とイスラエルの嘘を洗浄してきた覇権的権威に実質的な挑戦を加えることができる」と述べた。
署名者たちは、3つの要求が満たされるまで協力しないと明らかにした。それは、△NYTの反パレスチナ偏向に対する内部検討および報道基準の改定、△「ハマスの組織的性暴力」の誤報「Screams Without Words」記事の撤回、△編集委員会によるイスラエルに対する米国の武器支援禁止を促す社説の掲載などだ。
彼らは「非合理的でも不可能な要求でもない。NYTは世論と内部圧力に応じてスタイルガイドを変更した前例がある」と強調した。NYTが1987年のエイズ危機の際、貧弱な取材と性的少数者嫌悪の報道基調に批判が高まると編集慣行を変えたこと、イラク戦争に関連する誤報をリスト化した後、報道を撤回し、最も悪質な報道をした記者を追放した事例を挙げながらだ。NYTがヨーロッパでのユダヤ人虐殺を正確かつタイムリーに報道できなかったことに再発防止を誓ったという点も指摘した。














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