米、北朝鮮ハッカー資金洗浄に制裁
過去3年で4,600億円窃取

米政府は4日(現地時間)、北朝鮮政権のサイバー犯罪による収益資金の洗浄に関与したとして、北朝鮮国籍の個人8人と北朝鮮関連機関2カ所を新たに制裁対象に指定した。
米国は、北朝鮮が国際制裁を回避しながらサイバー攻撃で得た資金を核・ミサイル開発に流用しているとみており、今回の措置はその「資金源」を断つ狙いがある。
米財務省外国資産管理局(OFAC)は声明で、「サイバー犯罪や偽装したIT労働者による不正収益の洗浄に関与した北朝鮮の個人8人、団体2カ所を制裁対象に追加した」と発表した。
制裁対象には、北朝鮮国籍の チャン・ククチョルと ホ・ジョンソンが含まれている。両者は暗号資産530万ドル(約8億円)を含む資金の管理に関与していたとされる。財務省によれば、資金の一部は、米国の被害者を標的とした北朝鮮のランサムウェア組織と関連しているという。
また、北朝鮮のIT企業「朝鮮万景台コンピュータ技術会社」と、その代表者ウ・ヨンスも制裁対象に加えられた。同社は中国の瀋陽(シェンヤン)や丹東(タントン)の少なくとも2都市からIT労働者の派遣事業を運営しており、中国国民を銀行代理人として利用することで資金の出所を隠蔽していたという。
さらに、北朝鮮の金融機関「柳亭信用銀行」は、中国と北朝鮮間の制裁回避活動に金融支援を提供したことが確認され、制裁対象に追加された。このほか、ホ・ヨンチョル、ハン・ホンギル、チョン・ソンヒョク、チェ・チュンポム、リ・ジンヒョク なども制裁対象に含まれた。これらの人物は、中国やロシアを拠点に、制裁対象となっている北朝鮮金融機関に代わって送金業務などを行っていたとされる。
今回の制裁により、指定された個人・団体の米国内の全資産が凍結され、米国人との取引が原則として禁止される。
米財務省のジョン・K・ハーリー テロ・金融情報担当次官は「北朝鮮は核兵器開発資金を捻出するため、国家支援ハッカーを動員して資金を盗み、洗浄している。こうした活動は、米国と世界の安全保障を直接脅かしている」と警告した。
財務省によれば、過去3年間で北朝鮮と関連するサイバー犯罪組織は 30億ドル(約4,600億円)以上 を盗み取っており、主な標的は暗号資産だった。高度なマルウェアなど洗練された手法を用いているとされる。また、IT人材の偽装就労やデジタル資産の窃取、制裁回避スキームから得た収益を洗浄し、国際金融システムへアクセスするために、海外ネットワークに依存していると財務省は説明した。このネットワークは、北朝鮮や中国、ロシアなどに所在する銀行代表者や金融機関、ペーパー会社などで構成されているという。
財務省は、「米国は、複数の国連安全保障理事会決議に違反し、大量破壊兵器および弾道ミサイル計画を支援し、制裁回避活動を助長する北朝鮮勢力の行動を強く非難する」と強調した。
一方、米国務省は前日、北朝鮮産の石炭や鉄鉱石を中国へ輸送する際に関与した第3国籍の船舶7隻について、新たに国連制裁対象に指定する手続きを進めていると明らかにした。
先月末(10月29〜30日)に予定されていたドナルド・トランプ米大統領の訪韓を機に期待されていた米朝首脳会談が見送られるなか、米国が相次いで対北制裁を強化していることから、今後の米朝関係の行方に注目が集まっている。















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