
ロシアが総攻勢を展開しているウクライナ東部の要衝、ドネツク州ポクロウスクをまもなく完全に制圧する見込みだと、米CNNが9日(現地時間)に報じた。
ポクロウスクが陥落すれば、ロシアはウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州を含むドンバス地域全体の掌握という目標に一段と近づくことになる。ロシア軍は1年以上にわたりポクロウスク制圧を試みてきたが、ここ数日で市街地への侵入に成功し、激しい市街戦が続いているという。
ウクライナ側は、ロシアが主張する「包囲完了」を否定しており、ポクロウスク周辺で依然として防衛作戦を展開中だと今月5日に発表している。
しかしCNNは、ウクライナ兵の証言をもとに、ロシア軍によるポクロウスク制圧が目前に迫っていると伝えた。ウクライナ軍のある大隊長は「我々はほぼ包囲された状態にある。市街地では戦闘と砲撃が絶えず、非常に厳しい状況だ」と語った。また別のウクライナ兵士も「ロシア軍が大規模な兵力を投入し続けており、ドローン部隊が対応しきれないほど動きが速い」と証言した。
ポクロウスクは交通の要衝で、これまでウクライナ軍がドネツク全域に物資を供給する補給拠点として機能してきた。だが今夏、ロシアが包囲作戦を開始して以降、ドローンや砲撃によって主要な道路や鉄道が破壊され、ウクライナ側は補給経路を別ルートへ切り替えたという。
すでに廃墟と化し、戦略的価値を失ったポクロウスクをめぐる戦闘は、長期化する戦争の中で「象徴的な戦い」となっていると専門家は指摘する。
米ワシントンのシンクタンク戦争研究所のロシア・地理情報チーム長ジョージ・バロス氏は「ロシア軍はすでに主要目標を達成しており、この段階でポクロウスクを占領しても実際の軍事的利益はほとんどない」と述べた。
ポクロウスクは、ロシア軍が2023年5月に東部最大の激戦地バフムートを制圧して以来、占領する中で最大の都市になるとみられる。ウクライナ当局によれば、戦争前のポクロウスクの人口は約6万人だったが、現在は民間人1,200人程度しか残っていないと推定されている。
ウラジーミル・プーチン露大統領はこれまで、ドンバス全域に加え、南部ヘルソン州とザポリージャ州も完全掌握する方針を明らかにしてきた。CNNは、ポクロウスク陥落後、ロシア軍がウクライナ防衛線の中核をなす北東部の工業都市など、別の地域へ戦線を移す可能性があると報じている。














コメント0