「こんなに大きいの?」車に突進するクマの映像も
各地で被害拡大、死亡者数は過去最多に

各地でクマによる被害が相次ぎ、政府が自衛隊や警察機動隊を動員して対応に乗り出すなか、北海道でも走行中の車にクマが突進する映像が撮影され、住民の不安が一段と高まっている。
北海道浦河町の牧場主は、今月6日午後7時半ごろ、牧場に向かっていた従業員が橋の上でクマに遭遇したとして、そのときの映像と写真をX(旧ツイッター)に投稿した。
映像には、雨の夜道で大型のヒグマが車に向かって猛スピードで走り寄る様子が映っている。
運転手は衝突を避けようと車をバックさせたが、クマはボンネットに飛びかかり、その後もしつこく追いかけてきた。

動画はわずか7秒ほどで、その後の状況は写っていない。
牧場主は「映像以外の被害はなく、従業員は無事でした。近隣の方や通行される方は十分注意してください」と投稿している。
同時に、爪で引っかかれた跡が残る車のボンネットの写真も公開した。

SNSでは「想像の5倍は大きい」、「クマの襲撃報道は大げさだと思っていたが、映像を見ると本当に危険だ」、「あまりに現実離れしていてAI映像かと思った」、「無事でよかった」など、驚きと恐怖の声が相次いだ。
北海道では、道内の約半分の地域にヒグマが生息しており、餌を求めて人家の近くまで現れることもある。
8月には知床で登山中の20代男性がヒグマに襲われて死亡し、7月にも函館近郊で新聞配達員が襲われ命を落としている。
クマ被害、過去最多 政府が自衛隊・警察を投入

北海道だけでなく、東北地方でもクマの襲撃による人的被害が相次いでいる。
環境省によると、今年4月以降に確認されたクマの襲撃による死亡者は13人と、統計開始以来最多となった。
4月から9月までのクマの出没件数は暫定で2万792件にのぼり、過去1年分をすでに上回っている。
北海道と東北各県は6日、政府に対し被害対策の財政支援などを要請する方針を決めた。
政府は秋田県の要請を受けて自衛隊を派遣し、警察庁も、集落近くに出没するクマを小銃で駆除できるよう国家公安委員会規則を改正した。
従来は凶悪犯罪の対応などに限られていたが、クマの出没が頻発し外出もままならない地域があるため、適用範囲を広げた。
警察庁は、襲撃事件が多発している秋田・岩手両県に機動隊員を増派し、現地警察と合同で13日から小銃を用いた駆除活動を行う予定だ。

読売新聞によると、住民の間では「ようやく実効的な対策が始まる」と期待する声がある一方、「銃では限界がある」との懸念も出ているという。
一方、自衛隊は銃による駆除は行わず、大型のわな設置や捕獲後の搬送など後方支援を担当し、隊員は防弾チョッキを着用し、盾やクマ撃退スプレー、長さ165センチの棒などを携行している。

また、宅配各社も北海道や東北地方で働く配達員に撃退スプレーを配布し、注意を呼びかけている。
ただし、ヒグマの主食であるブナの実が今年は大凶作のため、餌を求めて人里に現れるクマが今後さらに増えるとみられると、毎日新聞が報じている。














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