ゼレンスキー大統領側近を捜索 1億ドル資金洗浄疑惑
当局「国営原発企業で大規模な汚職組織を摘発」
現地報道「ゼレンスキー大統領の旧ビジネスパートナー宅を家宅捜索」

ウクライナの反汚職当局は10日(現地時間)、エネルギー分野を対象に大規模な捜査を進めていると発表した。
英紙『ガーディアン』によると、ウクライナ国家汚職対策局(NABU)はこの日、国営原子力発電企業エネルゴアトムが取引過程で10〜15%の不正な報酬を受け取っていた疑いが浮上し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の側近を含む複数の高官が関与していると明らかにした。
また、『フィナンシャル・タイムズ』紙は、NABUが関係者による約1億ドル(約154億円)規模の資金洗浄(マネーロンダリング)を捜査していると報じた。
NABUの声明によれば、複数の人物が犯罪組織を形成し、公共部門の主要企業、特にエネルゴアトムに影響力を及ぼす大規模な汚職構造を作り上げていたという。
関係者らはエネルゴアトムと取引する業者に対し、支払いの遅延や供給資格の剥奪を免れる見返りとして10〜15%のリベートを要求していたとされる。
同局はさらに、反汚職特別検察局(SAPO)と合同で「エネルギー分野の汚職摘発を目的とした大規模作戦を実施した」と説明し、高官やゼレンスキー大統領の旧知の実業家らの自宅を家宅捜索した。現地メディアは、その中にゼレンスキー大統領が政界入り前に設立したメディア制作会社の共同オーナー、ティムール・ミンディチ氏が含まれていたと伝えている。
ただしミンディチ氏は捜索直前に国外へ逃亡したとされる。関係者によると「ゼレンスキー大統領とミンディチ氏はロシアの全面侵攻が始まった約4年前から、ほとんど連絡を取っていない」という。
ガーディアン紙は、今回の事態が大統領府と反汚職当局との緊張関係を再び浮き彫りにしたと指摘した。
ゼレンスキー大統領は7月、NABUとSAPOの権限を制限する法案に署名し、政権発足後初の反政府デモが起きるなど波紋を広げた。
その後、国内外の強い批判を受け、ゼレンスキー大統領は方針を転換し、両機関の権限を回復させる新法案を迅速に可決させた。
汚職撲滅と法治強化はウクライナのEU加盟に向けた最重要条件であり、ロシアによる侵攻が長期化する中でも、ゼレンスキー政権は国家の将来を左右する最優先課題として取り組んでいる。
国際透明性機構(TI)によると、ウクライナは2024年の腐敗認識指数(CPI)で180か国中104位、ロシアは142位にとどまった。ウクライナは依然として欧州で最も汚職が深刻な国の一つとされる。
一方、秋以降のロシア軍による大規模な空爆でウクライナの送電網は深刻な被害を受け、各地で停電が相次いでいる。ロシア軍は原子力発電所自体を攻撃してはいないが、発電施設とつながる変電所を集中的に攻撃したとされる。
ゼレンスキー大統領は前日、ガーディアン紙のインタビューで「プーチン大統領は民間人を狙った意図的なテロ行為を繰り返している」と強く非難した。
















コメント0