ウクライナ、ロシアの凍結資産活用で戦闘機購入を希望
ロシアの訴訟リスクにより、EUは結論を保留
戦闘機代金、ウクライナが支払えない可能性も

ロシアと戦争中のウクライナは17日(現地時間)、フランス製戦闘機「ラファール」100機を購入することで合意した。自国の防衛能力を強化するため、引き渡しは今後10年にわたって行われる予定である。
しかし、最大の課題である「費用の負担先」はまだ決まっていない。ウクライナとフランスは、EUに凍結されているロシア資産を活用する案を検討しているが、将来の訴訟リスクを懸念するEU側は、まだ最終的な結論を示せていない。
フランスの最先端戦闘機ラファールは、中東やアフリカを含む海外の軍事作戦で運用されており、1機あたりの価格は約1億ドル(約160億円)と推定されている。
『ロイター通信』によると、フランスを訪問中のウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領は17日、エマニュエル・マクロン大統領とビラクリブレ空軍基地で、今後10年間に最大100機のラファール戦闘機を購入する意向書に署名した。この意向書には、フランスが現在開発中の対空防御システム「SAMP-T」や無人機(ドローン)、弾薬の供給も含まれている。
マクロン大統領は共同記者会見で、「これはウクライナ軍の再建に必要な規模の支援だ」と述べ、「フランスはウクライナを持続的に支援していきたい」と強調した。ゼレンスキー大統領も「歴史的な合意だ」と評価し、「ウクライナはフランスの支援を非常に重視している」と語った。
今回の両国間の合意は、アメリカが仲介する停戦交渉で、ロシアが非協力的な姿勢を示す中で成立した。ロシアはウクライナ領土の19%以上を占領しており、ドンバス地域の最大激戦地であるポクロフスクの制圧を目前に控えている。
ロシアの凍結資産活用にEUは難色

課題となっているのは、ラファール戦闘機100機購入の資金調達方法がまだ確定していない点である。『ロイター通信』は「ウクライナ政府はロシアの凍結資産を活用する方針を進めているが、EUは同意していない」と指摘した。
ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月以降、EUに凍結されたロシア中央銀行の資産は約2,100億ユーロ(約38兆円)に上り、その大半はベルギーにある中央預託機関(CSD)、ユーロクリアに預けられている。ウクライナ支援に積極的な国々は、この凍結資産およびそこから生じる利子収入を活用してウクライナの軍事費を賄うべきだと主張している。
しかし、今後ロシアが訴訟を起こしたり、終戦後に資産の返還を要求した場合、法的責任を回避するのは容易ではない。このため、凍結資産を管理するベルギーなどの国々は慎重な姿勢を示している。実際、ロシアは最近、凍結資産に手を付けた場合、ベルギーを攻撃する可能性があると警告したこともある。
米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は同日、「EUはロシアの凍結資産を活用してウクライナに軍事資金を提供しようとしているが、EU加盟国の反対によりこの計画が頓挫すれば、代替策はほとんど存在しない」と指摘した。最悪の場合、ウクライナがフランスにラファール戦闘機の代金を支払えない可能性もある。フランス大統領府(エリゼ宮)が同日、「意向書は購入契約というより政治的約束にすぎない」と説明したのも、こうした事情を反映したものとみられる。
操縦士の訓練に最低3年、すぐの実戦配備は困難
ウクライナによるラファール戦闘機の購入は今回が初めてで、今年初めにはラファールの前世代機にあたる「ミラージュ2000」が引き渡されていた。そのため、ラファール戦闘機がウクライナに引き渡されても、すぐに実戦で運用することはできない。操縦士の訓練期間などを考慮すると、実戦配備には最低でも3年が必要とされる。これに関連して、ゼレンスキー大統領は「ミラージュ戦闘機で訓練を積んだ操縦士たちは、ラファール戦闘機の操縦法を迅速に習得できるだろう」と述べ、訓練の重要性を強調した。















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