ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナとロシアとの戦争終結を目指す「和平案28項目」を修正する可能性があるとの立場を示した。当初、今月27日までに受け入れるよう圧力をかけていたが、態度を軟化させた形だ。この平和案は、ウクライナの領土譲渡や軍事力縮小など、ロシアに一方的に有利な内容となっており、ウクライナが受け入れにくいとの評価を意識した発言とみられる。

トランプ大統領は22日(現地時間)、NBCニュースのインタビューで「これは最終案ではない」と述べ、「我々は平和を実現したい。どんな形でも戦争を終わらせる必要がある」と語った。その一方で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が平和案を拒否する場合には、「望むなら戦いを続けても構わない」と述べた。
前日、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対し、感謝祭の27日までに平和案に同意するよう圧力をかけ、迅速に署名しない場合は軍事支援などすべての支援を撤回する可能性を示唆していた。しかし、わずか1日で態度を軟化させた形となっている。
トランプ政権が提案した平和案には、ロシアが現在占領している地域より広いウクライナ領土を保持することを許容する内容や、ウクライナ軍の規模制限、ウクライナのNATO加盟禁止などが含まれている。しかし米国内メディアや外交関係者からは、この平和案がロシア寄りの計画であるとの批判が絶えなかった。ウクライナ国民も平和案に強く反発し、「ネヴィル・チェンバレンとアドルフ・ヒトラーの1938年ミュンヘン協定を連想させる」とまで表現した。
ゼレンスキー大統領は今週の映像メッセージで、「ウクライナは非常に困難な選択に直面している。尊厳を失うか、重要なパートナーを失う危険を冒すかの問題だ」と述べ、「28項目の厳しい条件か、厳寒の冬かを選ばなければならない状況だ」と訴えた。ワシントン・ポスト(WP)は、ゼレンスキー政権が「巨大な外交圧力に直面している」と指摘している。
ウクライナだけでなく、西側諸国も今回の平和案に懸念を示している。南アフリカで開かれたG20(主要20か国)首脳会議に合わせた会合では、英国、フランス、ドイツ、イタリア、フィンランド、アイルランド、オランダ、スペイン、ノルウェーの首脳が共同声明で「この計画はウクライナを将来の攻撃に対して脆弱にする可能性がある」と指摘した。ロイター通信によると、これらの国々は「28項目の草案には持続的な平和のために必要な重要要素が含まれており、さらなる作業が必要だ」との見解を示した。
米共和党内部でも懸念の声がある。リンゼー・グラム上院議員(共和・サウスカロライナ)はX(旧ツイッター)に「提案には良い点もあるが、非常に問題の多い部分もある」と指摘し、上院軍事委員長のロジャー・ウィッカー上院議員(ミシシッピ州)も「いわゆる『和平案』には実質的な問題がある。平和を実現できるかどうかには懐疑的だ」と指摘した。ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ)も「プーチン大統領の戦争意志を弱め、米国の立場を強化するためにはロシアに強力な制裁を課さなければならない」と主張した。
これに関連し、米国の関係者によるとマルコ・ルビオ国務長官とスティーブ・ウィトコフ中東特使は、和平交渉を進展させるためにスイスのジュネーブでウクライナ代表団と会談を持つ予定だ。ロシア代表団との別途会合も検討中だと伝えられている。















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