
ヨーロッパ主要国でドローン攻撃による安全保障上のリスクへの警戒が高まる中、イラク北部の主要ガス田がドローン攻撃を受け、操業が一時停止に追い込まれた。犯行主体は現時点では確認されていない。
ロイター通信が26日(現地時間)に報じたところによると、イラク・クルディスタン地域政府の天然資源省および電力省は共同声明を発表し、主要ガス田の一つであるホル・モルガス田がドローン攻撃を受けたことで操業を停止し、地域内のすべての発電所へのガス供給が全面的に中断されたと明らかにした。
ロイターの取材に対し、関係筋は、ドローンがガス田の貯蔵タンクを直撃して火災が発生し、タンク周辺で作業にあたっていた労働者の一部が負傷したと説明した。現場から避難した作業員の一人は、「ドローンがガス田の中核となる貯蔵施設を攻撃し、大きな被害が出ている。火は依然として鎮まっていない」と語っている。
クルド系放送局「Rudaw」がSNSのXで公開した映像には、炎に包まれるホル・モルガス田の様子や、電力供給の停止によってクルディスタン地域のスレイマニヤ市が広範囲で停電し、暗闇に包まれた状況が映っている。
攻撃の背後関係は依然不明だが、クルディスタン地域政府およびガス田運営企業であるアラブ首長国連邦(UAE)のダナガス関係者が、現地で原因などの調査を進めている。ロイターによると、今回の攻撃は、23日に発生した同地域でのドローン侵入事案に続く2件目となる。イラクのクルド治安部隊は23日夜、ガス田に接近するドローンを阻止するため防御射撃を行っていた。
ホル・モルガス田は、イラク国内最大規模の「非随伴ガス田(油田と連動しないガス田)」で、UAEのエネルギー企業ダナガスおよびクレセント・ペトロリアムが主導するパール・ペトロリアム・コンソーシアムによって運営されている。同コンソーシアムには、オーストリアのOMV、ハンガリーのMOL、ドイツのRWEなども参画している。
同ガス田の1日あたりの生産量は約7億5,000万立方フィートとされており、地域の電力インフラにとって極めて重要な供給源となっている。
















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