
米国のドナルド・トランプ政権は、感謝祭前日の26日(現地時間)にワシントンD.C.中心部で起きた州兵を標的とする銃撃事件を受け、反移民政策のさらなる強化に乗り出した。
米国移民局(USCIS)のジョゼフ・エドロー局長は27日、自身のSNS「X(旧Twitter)」に、「大統領の指示に基づき、すべての『懸念国家(country of concern)』出身外国人のすべてのグリーンカード(永住権)について、全面的かつ徹底的な再調査を命じた」と投稿した。
この発言は、前日に公開されたトランプ大統領のビデオメッセージと連動したものとみられる。トランプ氏は同メッセージで、「この国の一員でない者、あるいは米国にとって利益にならない者は、どの国の出身であろうと国外追放すべきであり、そのために必要なあらゆる措置を講じなければならない」と強調した。
エドロー局長は具体的な国名には言及しなかったが、USCISは19カ国を対象としていると『CNN』は報じた。これらは、トランプ大統領が今年6月の布告で、当該国の国民の米国入国を全面禁止または部分的に制限した国々にあたる。
当時、入国全面禁止対象としてイラン、イエメン、アフガニスタン、ミャンマー、チャド、コンゴ共和国、赤道ギニア、エリトリア、ハイチ、リビア、ソマリア、スーダンの12カ国が指定され、部分制限国としてブルンジ、キューバ、ラオス、シエラレオネ、トーゴ、トルクメニスタン、ベネズエラの7カ国が挙げられた。
この中でアフガニスタンは、今回の銃撃事件の容疑者の出身国でもある。USCISはトランプ大統領のメッセージ直後、アフガニスタン出身の移民申請者に対する審査を無期限停止した。
一方、米国土安全保障省(DHS)は、前バイデン政権下で承認されたすべての亡命案件を再審査する方針を明らかにしたと『ロイター』が伝えた。トリシャ・マクローリン報道官は声明で、「トランプ政権は、大量の亡命申請を適切に審査できなかったバイデン政権下で承認されたすべての案件を改めて精査している」と述べた。
これに先立って、J・D・ヴァンス副大統領は、今回の銃撃事件によって政権の移民政策の正当性が証明されたと主張し、「米国に滞在する権利のない者を追放するため、さらなる努力が必要だ」とSNSに投稿した。
容疑者はアフガン国籍ラカンワル トランプ政権下で亡命承認
州兵を銃撃した容疑者として逮捕されたのは、アフガニスタン国籍のラフマヌラ・ラカンワル被告(29)で、過去に米軍と協力し、ターリバーンと戦ったアフガニスタン軍出身者であることが明らかになった。米メディアによると、同被告はCIAが組織・訓練した対テロ部隊「ゼロ部隊」の一員として活動していた。
ゼロ部隊は、アフガニスタンにおける米国の「対テロ戦争」を支援し、ターリバーンなどのテロリストと疑われる人物を急襲し、拘束・殺害する任務に従事していた。
米国は第1次トランプ政権下でターリバーンと和平合意を結び、アフガニスタン撤退を約束。実際の撤退はバイデン政権下で実施された。ゼロ部隊の隊員らは、現地に残れば報復の対象となる可能性が高かったため、多くが米国へ退避したと、元・現職の関係者は『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』に語っている。
ラカンワル被告は昨年12月に亡命を申請し、トランプ大統領の第2期政権発足から3カ月後にあたる今年4月23日に亡命が承認されたと、『ロイター』は匿名の政府関係者の話として報じた。同関係者は、被告にこれまでの犯罪歴はなかったと述べている。
捜査当局によると、被告は犯行のため、米北西部ワシントン州から東部の首都ワシントンD.C.まで車で大陸を横断していた。ワシントンD.C.の連邦検事であるジャニーン・ピロ氏は、関係機関との合同ブリーフィングで、被告がカナダ国境に近い海岸都市ベリンハムに居住し、妻と5人の子どもと暮らしていたと発表した。
ピロ検事はこの移動経路を踏まえ、「首都を明確に標的とした意図があった」と指摘している。
米連邦捜査局(FBI)は被告の自宅から携帯電話、ノートパソコン、タブレット端末など複数の電子機器を押収し、家族からも事情を聴いたと『ロイター』は伝えた。















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