
紙を食い荒らす微小な侵入害虫が急速に拡大し、日本各地の貴重な文化財や歴史記録、巻物などへ深刻な被害が及ぶ恐れがあるとの警告が出ている。
28日(現地時間)、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によれば、紙を食べる害虫の出現を受け、専門家は「ゴーストシルバーフィッシュと呼ばれるこの害虫は繁殖速度が極めて速いため、保存施設の関係者やキュレーターが危機感を持ち、まん延を防ぐ対策を急ぐ必要がある」と指摘しているという。
体長約1センチほどのゴーストシルバーフィッシュは、1910年にスリランカで初めて確認された害虫で、日本では2022年に初めて確認された。
その後、文書・美術品・記録物などが入った貨物に紛れ込んだとみられ、現在までに19都道府県の機関で痕跡が確認されているという。
日本には紙を食べる虫は昔から存在していたが、極めて繁殖力の高いゴーストシルバーフィッシュは新たな脅威と位置付けられている。
東京文化財研究所の研究者は、繁殖を抑えるため「保管温度を20度以下に下げることが有効だ」と提案しているものの、実際には保存特性上20度以上を維持するコレクションも多く、対応に限界があると述べた。
研究チームは、展示室や収蔵庫の徹底清掃によって、繊維質の有機物や昆虫の死骸などの餌となるものを除去し、繁殖期となる夏から秋は「燻蒸消毒」を行うことを推奨している。
さらに、研究所は無償で毒餌サンプルを配布するなど、害虫防除の支援も進めている。
日本文献保存機関協会(AIJI)の辻川篤志会長は「紙を食べる蛾類は日本に古くから存在し、古文書や書籍の業務でも直接目にしてきた。我々の施設でも被害を防ぐための対策を講じている」と説明した。
その上で「今回の害虫も、海外旅行客の荷物やコンテナ、貨物、輸入品などに紛れ込んだ可能性が高い」とし、保存施設・キュレーター・記録管理者の間での情報共有不足が被害を拡大させる恐れがあると懸念を示した。

















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