
高市早苗首相の発言をきっかけに中国と日本の対立が深まるなか、中国政府があらためて国連に対し、高市首相の発言撤回を求めた。
ニューシスによると、中国国営新華社は2日、傅聡国連大使が1日(現地時間)、アントニオ・グテーレス国連事務総長あてに書簡を送り、日本側の主張に反論するとともに、中国政府の立場を説明したと伝えた。
傅大使は書簡の中で、現在の日中間に深刻な意見の相違が生じている直接の原因は、高市首相が11月7日の国会答弁で「台湾有事の際、日本の存立が危機に陥る可能性がある」と述べた発言にあると指摘した。中国側は、この発言が「日本が台湾問題に武力で介入することを示唆したものだ」と反発している。
さらに日本が、自国の「一貫した立場」を明確に示していないと批判し、カイロ宣言やポツダム宣言、日本の降伏文書、日中共同声明などの順守義務を果たしていないと主張した。
そのうえで、こうした発言は領土保全や政治的独立を侵害してはならないと定めた国連憲章に反しているとし、日本が軍事力の増強や核兵器の導入を進めているとも問題視した。
傅大使は「高市早苗氏の誤った言動が日中間の相互信頼を深刻に損ない、両国関係の政治的基盤を揺るがしている」と述べ、高市首相による発言の撤回などを求めたうえで、「もし応じなければ、その結果はすべて日本側が負うことになる」と警告した。
今回の書簡は、山﨑和之国連大使が先月24日、中国側の主張に反論する書簡をグテーレス事務総長あてに送ったことへの再反論とみられる。
山﨑大使は前回の書簡で、日本が「集団的自衛権」を行使できる事態を限定的に定義していると説明し、「日本政府の防衛の基本方針は専守防衛(攻撃を受けた場合に限り防衛力を行使するという考え方)だ」と強調していた。
また中国に対しては、「自国の意に沿わない他国の発言や政策に、威圧的な措置で対応するやり方には国際社会が反対すべきだ」と訴えていた。
傅大使は先月21日にも別の書簡を送り、高市首相の発言を批判し、撤回を求めている。













コメント0