11月の雇用増は6万4,000人にとどまり、失業率は4年ぶり高水準
「貿易・移民政策の変更が、労働需給を抑えた」

米国の雇用情勢が、パンデミック後で最も弱い局面にあることを示すデータが出た。11月は雇用が小幅に増加に転じた一方、失業率は4年ぶりの高水準まで上昇し、労働市場の冷え込みが鮮明になっている。
米労働省労働統計局(BLS)が16日(現地時間)に発表した雇用統計によると、11月の非農業部門雇用者数は前月比6万4,000人増加した。増加幅は小さく、4月以降の基調に大きな変化は見られないという。
11月の失業率は4.6%となり、2021年9月以来、約4年ぶりの高水準となった。2023年4月に54年ぶりの低水準である3.4%を記録して以降、上昇基調が続いており、採用ペースの鈍化を示す形だ。
今回の公表には、連邦政府のシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)の影響で発表が遅れていた10月分の統計の一部も含まれた。10月の非農業部門雇用者数は前月比10万5,000人減少した。減少の背景として、トランプ政権の「自発的退職延期プログラム」に参加した連邦政府職員が給与名簿から外れた影響が挙げられている。
政府部門の雇用急減が全体の押し下げ要因となった。政府部門の雇用は10月に16万2,000人減少し、11月もさらに6,000人減った。
ホワイトハウス国家経済会議(NEC)委員長のケビン・ハセット氏は、最近の失業率上昇は、前職の連邦公務員が新たな職を探し始めたことによる面があると説明した。退職金を受け取った後も労働市場に残って求職活動をしており、その過程で失業者として計上されるという。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、今回のデータはここ数年で最も弱い米労働市場を示していると指摘した。雇用の押し上げは医療・教育分野が中心だった一方、貿易政策の変化や移民政策の強化が労働需要と供給の双方を抑え、全体として雇用増が乏しくなったとの見方を示した。
こうした状況は、「最大雇用」と「物価上昇率2%」という二つの目標の間で舵取りを迫られる米連邦準備制度理事会(FRB)にとって、政策運営の難度を高める要因となりそうだ。FRBは先週の会合で、労働市場が徐々に冷却し、下振れリスクが大きいとの判断から、政策金利を3会合連続で引き下げ、3.50~3.75%とした。
RSMのチーフエコノミスト、ジョゼフ・ブルスエラス氏は「すべての道はワシントンD.C.の政策に通じる」と述べ、「景気後退の前兆だと言うつもりはないが、1年前にはなかった実質的な経済的課題が存在する」との見方を示した。













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