
クリストファー・ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は17日(現地時間)、米政策金利が最大で1%ポイント程度はさらに引き下げる余地があるとの認識を示した。次期FRB議長人事を巡り、ドナルド・トランプ米大統領による面接を控える中での発言となった。
トランプ大統領は景気刺激と巨額の債務利払い負担の軽減を目的に、1%以下の超低金利を望んでいる。来年5月に任期が満了するジェローム・パウエルFRB議長の後任人事でもこうした方針に沿う人物を選ぶとの見方が強まっている。
FRBは今月9日から10日に開いた今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.50%から3.75%とした。ただ、点描図では来年の利下げ回数は1回にとどまるとの見通しが示され、トランプ大統領の期待を大きく下回った。
次期FRB議長候補としては、FRB外部からはケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長や、ケビン・ウォーシュ元FRB理事の名前が取り沙汰されている。一方、ウォラー理事はFRB内部では有力候補である。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、ウォラーFRB理事はこの日、米イェール大学で開催された「イェールCEOサミット」に出席し、「米国の雇用増加率はほぼゼロに近く、健全な労働市場とは言えない状況だ」と指摘した。その上で、「現在のFRBの政策金利は中立金利を約0.5〜1.0%ポイント上回っている可能性が高い」と述べ、最大で1.0%ポイント程度の利下げ余地があるとの見方を示した。
中立金利とは景気を過度に過熱させることも、逆に冷え込ませることもないとされる政策金利水準を指す。ウォラー理事は現行の米政策金利はなお引き締め的であり、最大1.0%ポイント程度の追加引き下げが必要だと主張した。
ウォラー理事はこうした引き締め的な金融政策の影響で、米国の雇用はほぼ増加しない水準にまで低下しているとし、来年は労働市場を下支えするため「緩やかなペース」での追加利下げが必要になるとの見方を示した。「まだ利下げ余地はあり、さらに引き下げることができる」とも強調した。
トランプ大統領が1期目の政権時代にFRB理事に指名したウォラー理事は、FRB内では代表的なハト派とされている。現在の金融政策は、インフレ(物価上昇)よりも労働市場の減速に重点を置くべきだとの立場を取っている。
この日の講演でウォラー理事は「インフレ期待が再び高まっているという証拠はない」と述べ、トランプ大統領の関税政策がインフレを押し上げるとの懸念を退けた。
前日に米労働省が公表した10月・11月の雇用統計では、新規雇用の伸びが鈍化し、失業率は約4年ぶりの高水準に達するなど、労働市場の明確な減速傾向が示された。11月の非農業部門新規雇用者数は6万4,000人とされたがFRBは実際にはこれより最大で6万人少ない可能性があるとみている。
ウォラー理事は労働市場の減速は急落と呼べるようなものではないものの、緩やかで持続的な低下が続いているとの認識を示し、金利引き下げもそれに合わせて段階的に進めればよいとの考えを示した。















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