「経済ブーム到来」と自画自賛の国民向け演説
実は投資誘致額を2倍に水増し
ガソリン価格も低く言及し物価高を隠蔽

ドナルド・トランプ米大統領は17日(現地時間)、国民向け演説で再任後11カ月間の各種政策が成果を上げたとし、「世界が見たことのない経済ブームを迎える準備ができた」と主張した。また、自身の代表的政策である関税収入を基に約140万人の現役軍人に「クリスマス前に1776ドル(約27万6,657円)を支給する」と述べ、支持率反発を狙った施策も発表した。
しかし、『The New York Times』(NYT)、『ワシントン・ポスト』(WP)、『AP通信』などは、この日の演説のほとんどが既存の演説の焼き直しで、高物価などの経済難の責任をジョー・バイデン前政権に転嫁しようとしていると批判した。支持率低下が続く中、来年の中間選挙を前に高物価など民生問題が浮上し、焦りから国民向け演説に踏み切ったとの見方も出ている。
同日、PBSやマリスト大学などの世論調査結果によると、彼が「大統領職をうまく遂行している」との回答はわずか38%だった。特に経済政策への支持率は、政権1・2期を通じて最低の36%にとどまった。米国民が最も懸念する経済課題として「物価」(45%)、「住宅価格」(18%)などが挙げられた。
「全ての問題はバイデンのせい」…虚偽統計引用との批判高まる
トランプ大統領はこの日の午後9時(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで約18分21秒の演説を行い、自身の再任後「誰も想像できなかった成果を上げた」と自賛した。演説冒頭からバイデン政権を攻撃し、「11カ月前に混乱した国を引き継ぎ、今それを修復している」と主張した。高物価、不法移民、貿易赤字など多くの問題は全て野党民主党の政権時代に生じたとした。
特に彼は様々な数値を挙げ、自らの経済政策が正しいと強調した。感謝祭の七面鳥、卵、薬、ガソリンなどの価格が全て下がり、民間の雇用が大幅に増えたとし、「これは大部分が関税および外国との直接交渉の成果だ」と主張した。
しかし、彼がこの日使用した数値は誤りだとの分析が支配的である。NYTは、雇用が増えたというトランプ大統領の主張とは裏腹に、米国の今年11月の失業率は4.6%を記録し、2021年9月以来の最高値だと指摘した。また、トランプ大統領はこの日、再任後18兆ドル(約2,803兆8,150億円)の投資を確保したと主張したが、これはホワイトハウスが集計・発表した9兆8000億ドル(約1,515兆8,474億円)の2倍に達する数値だ。トランプ大統領が「薬価を最大600%まで引き下げた」と述べたことについては、100%引き下げただけでも薬価が「0」ドルになるという意味だと指摘された。
『AP通信』も、大統領は米国全土のガソリン平均価格がガロン当たり2.50ドル(約389円)だと主張したが、実際は2.90ドル(約451円)だと指摘した。WPは「今回の演説は虚偽の事実で満ちていた」と批判した。
「戦士配当金」支給を発表
この日の演説でほぼ唯一の新しい内容は、現役軍人に一人当たり1776ドル(約27万4,709円)の「戦士配当金(warrior dividend)」を支給するという発表だった。トランプ大統領は、この金額が1776年の米国建国を記念して定めたものだとし、「関税のおかげで想定以上の収入があり、既に皆さんに還元されている」と述べた。しかしNYTは「支給には議会の承認が必要だ」と指摘した。
トランプ大統領は住宅価格の上昇について、バイデン政権が数百万人の移民を連れてきて納税者の金で住宅を提供したため、米国民の家賃と住宅費が急騰したと主張した。そして「新年には米国史上最も攻撃的な住宅改革計画を目にすることになる」とし、不法移民対策を住宅価格問題と結びつけて対応する意向を示した。
共和党内での影響力が以前より弱まる
トランプ大統領の支持率急落により、与党共和党内でも彼の影響力が以前ほどではないとの分析が出ている。
この日、マイク・ローラー(ニューヨーク州)、ブライアン・フィッツパトリック、ロブ・ブレズナハン、ライアン・マッケンジー(いずれもペンシルベニア州)ら共和党下院議員4名は、トランプ大統領が反対した公的医療保険「オバマケア」の補助金支給延長投票に関して「これを継続しよう」との民主党側の請願に署名した。これにより、民主党は該当法案の投票強行に必要な最少人数である下院過半数の218名を確保することになった。NYTなどはこの4名の行動を大統領に対する「驚くべき反乱」と評した。















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