米ドナルド・トランプ政権は18日(現地時間)、イランの石油輸出を密かに支援してきた、いわゆる「影の船団(シャドー・フリート)」に対する制裁を発表した。
米財務省は同日、外国資産管理局(OFAC)が、イラン産原油および石油製品を違法に輸送してきた船舶29隻と、それに関与した海運会社、船舶管理会社、個人を制裁対象に指定したと明らかにした。
今回の措置は、イラン政権がテロ支援や地域の不安定化活動に用いてきた石油収益を遮断することを目的としている。
特に、エジプト国籍の海運実業家、ハテム・エルエルサイド・ファリド・イブラヒム・サクル氏が運営していた企業および船舶ネットワークが制裁対象に含まれた。
財務省は、サクル氏がアラブ首長国連邦(UAE)を拠点に複数の海運・エネルギー関連企業を運営し、イラン産石油製品の輸送に関与してきた中核人物だと指摘した。
制裁対象には、UAE、インド、パラオ、パナマ、マーシャル諸島、バルバドス、クック諸島、ジャマイカなど、複数の管轄地域に登録された船舶や、UAE、インド、パナマ、英領ヴァージン諸島、マーシャル諸島、リベリアなどに本社を置く海運会社・船舶管理会社が含まれている。
これらの多くは、特定の船舶の所有・運航のみを目的に設立されたペーパーカンパニーで、イラン産原油や燃料油、ナフサ、コンデンセート、ビチューメンなどを輸送してきたことが確認された。
OFACは、これらの船舶と企業が船舶間の積み替え、衛星位置信号の遮断、船舶の国籍および管理会社の変更などの手法で国際制裁網を回避してきたと述べた。一部の船舶については、イエメンのフーシ派が支配する港に寄港した形跡も確認されたと財務省は説明した。
財務省によると、トランプ大統領は第2期政権発足後、イランの石油輸出遮断を最優先課題とし、「影の船団」に対する制裁を拡大してきた。これまでに、イランの制裁回避ネットワークに関連して制裁対象となった船舶は180隻を超える。財務省は、こうした措置によりイラン産石油の輸送コストが上昇し、イランが1バレル当たりに得られる実質的な収益が減少していると評価した。
今回の制裁は、イランの石油および石油化学部門を対象とする大統領令13902号に基づいて実施されたもので、トランプ大統領が今年2月に発動した国家安全保障大統領覚書(NSPM-2)に基づく対イラン「最大限の圧力」政策の一環である。
ジョン・ハリー財務省テロ・金融情報担当次官は、「米国は、イランが石油収益を通じて軍事および兵器プログラムを維持することを決して容認しない」と述べ「財務省は、イランの違法な石油取引を可能にするすべての関係者とネットワークを引き続き標的にしていく」と強調した。
今回の措置により、制裁対象となった企業および船舶の米国内資産は即時凍結され、米国人および米国企業との取引は全面的に禁止される。また、これらと取引を行う第三国の金融機関や企業も、米国の二次制裁の対象となる可能性があると警告した。
米国務省も同日、別途発表した声明で、今回の制裁はイラン政権のテロ支援や違法活動に使用される石油収益を遮断するためのものだと説明した。
国務省は、イランが「影の船団」を利用して国際制裁を組織的に回避してきたと指摘し、米国は今後もこうした違法ネットワークを追跡し、遮断していく方針を強調した。













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