反日でも「ノージャパン」のない中国大陸… 寿司屋もユニクロも長蛇の列
中国、日本旅行を制限しながら国内消費は解放

週末の20日夜11時、中国北京朝陽区の「好運街」で明かりを灯した店は例外なく日本料理店だった。50軒余りの中で山西・フ・ジェンなど中国の郷土料理店は閉店したのに対し、和食店11軒は「開市」の看板を掲げ、列をなして入ってくる中国人客を迎えていた。好運街近くの日本の現地通りを模した「一番街」2階のバー「逃単」では「東京ラウンジ」と書かれたステージで中国人歌手の公演が続いていた。バーを埋めた客30人余りのほとんどが中国人だった。バーの前の廊下ではタバコをくわえた男女が日本の観光地の写真の前に立って「認証ショット」を残していた。
先月、高市早苗日本総理の「台湾有事の際の軍事介入」示唆発言以降、中日対立が激化したが、中国国内で「ノージャパン」(日本製品不買運動)はほとんど見られない。2012年の尖閣諸島の領土紛争の際、北京の日本大使館前で数千人が反日デモを行い、日本商品不買運動が相次いだ光景とは明らかに異なる風景だ。
中国当局は日本関連の消費を「中国内」と「中国外」に区分して統制する方式で日本を圧迫している。中国人の日本旅行や留学、日本歌手の中国内公演には制限をかけながら、中国内で行われる日本ブランドの消費や文化享受には特に制裁を加えていない。
6日、日本回転寿司チェーンのスシローが上海に初店舗をオープンすると700組の予約が殺到し、最長14時間待って入店したケースもあった。中国新聞網・今日頭条(ニュースプラットフォーム)などは「日中公的関係は緊張局面だが、日本の美食に対する上海民衆の熱意に水を差すことはできなかった」と報じた。20日、中国版「メルカリ」である「閑魚」では、北京のスシローの予約番号が40元(約890円)で取引されていた。
今月初め、朝陽区の鳳凰匯購物中心では日本のファッションブランドユニクロのレジ前に客が長い列を作り、最上階の映画館では日本のアニメ「鬼滅の刃」が上映中だった。「鬼滅の刃」は中国公開初日に予約率1位を記録し、上映28日間で累積興行収入6.77億元(約150億4,760万4,530円)を上げた。
一方、中国の航空会社と旅行会社は日本路線の航空便と旅行商品を強制的にキャンセルし、中国中産階級の日本行きを事実上遮断している。中国メディアの澎湃新聞は22日「来年1月、中国発日本行きの航空便の40.4%にあたる2,195便がキャンセルされた」とし、「特に23日から来年1月5日までの2週間に計画されていた中日46路線はすべてキャンセルされた」と伝えた。
中国は日本観光需要の「蛇口」を締め、日本経済に圧力をかけると同時に、年間2兆4,000億円に達する消費を国内に回す計算だ。今年1〜11月に日本を訪れた中国人観光客は877万人(日本政府観光局の集計)で、コロナ前の2019年(959万人)に迫り、彼らの現地消費額は平均1万3,000元(約28万8,950円)である。
中国のこのような「ツートラック」対応は日中対立の長期化を想定し、国際社会で正当性を確保するための世論戦を展開する戦略とも分析される。中華人民共和国外交部は戦後国際秩序フレームを前面に出し、高市総理の発言を問題視し、日本を「危険な行為者」と規定しようとする外交戦に力を入れている。このような状況で、中国国内で13年前のような大規模反日デモや日本人への危害などの重大犯罪が発生した場合、中国が世論戦で不利な立場に置かれる可能性がある。そのため、日本への旅行を制限しながらも、自国内の日本製品消費は解放しているというわけだ。
中国の経済規模が過去と異なっている点も背景として挙げられる。2010年には中国と日本の国内総生産(GDP)規模は似ていたが、昨年中国の経済規模は日本の4〜5倍に達した。北京の国有企業の社員である邓氏は「10年以上前は日本車や家電などが中国人の『剛需(必須品)』だったが、今は日本製のプレミアムが消え、ボイコットの対象が不明確になった」と語った。













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