
先月正式に就役した中国の3隻目の航空母艦、福建艦を巡り、現地メディアが艦載機の発艦能力を強調する報道を相次いで展開している。
中国の官営紙『環球時報』は25日、福建艦に搭載された電磁式カタパルト(EMALS)の加速力を示す映像が公開されたと報じた。これに先立つ24日には国営の中国中央テレビ(CCTV)が、福建艦がEMALSを採用したことで技術的に大きく前進したとする内容の番組を放送した。番組では、比較的短い発艦距離から航空機が急加速して離陸する場面が紹介されている。

CCTVは、福建艦は海外の空母で一般的な蒸気式カタパルトを経ずに、より先進的なEMALSへ移行したと主張した。そのうえで、EMALSは強い推力と高い効率を備え、射出力を精密に制御できるなどと自賛した。カタパルトは空母の飛行甲板から艦載機を射出するための装置で、米海軍では長年、蒸気式が主流だったが、最新鋭空母ジェラルド・R・フォードで電磁式が本格導入されたとされる。

報道では、EMALSの利点としてエネルギー効率の高さに加え、再充電が速く、艦載機を短い間隔で連続して発艦させやすい点が挙げられた。さらに、出力調整の幅が広く、重量の異なるさまざまな機体に対応できるとも説明している。軍事専門家として紹介された宋忠平氏は、福建艦がEMALSを採用したことで戦闘力が大きく向上したとしたうえで、こうした進展は科学技術の発展に支えられていると強調した。

福建艦は排水量が約8万トンで、70機以上の艦載機を運用できるとされ、先月5日に就役した。遼寧艦、山東艦に続く3隻目の空母で、先行する2隻はスキージャンプ式の発艦方式を採用している。
一方、専門家の間では、福建艦の就役によって中国海軍の作戦範囲が第2列島線に及ぶ可能性があるとの見方も出ている。列島線は中国が海上戦略上の区分として用いる概念で、第1列島線は沖縄―台湾―フィリピン―マラッカ海峡を結ぶ線を指すとされる。さらに外側の第2列島線は伊豆諸島周辺―グアム―サイパン―インドネシアを結ぶ線、第3列島線はアリューシャン列島―ハワイ―ニュージーランドを結ぶ線として説明されている。














コメント0