
児童が住民票の職権消除によって行政の把握から外れ、少なくとも197人が行方不明の状態に置かれていたことが明らかになった。今年2月、大阪府内の集合住宅で発見された6歳女児の遺体は、18年以上にわたり放置されミイラ化しており、この事件は単なる犯罪にとどまらず、制度の深刻な盲点を浮き彫りにしている。
『朝日新聞』が23日報じたところによると、今年2月、大阪府八尾市の集合住宅で、6歳女児とみられる岩本玲奈さんの遺体が見つかった。
遺体はコンクリート詰めにされた状態で、18年以上にわたり誰にも気づかれず放置され、ミイラ化していた。
この事件は、住民登録が職権で抹消された後、児童の所在を行政が把握できなくなるという制度的な限界を示す事例として指摘されている。
「住民基本台帳法」は、住民サービスの基礎となる台帳を適正に管理するため、自治体が実際の居住が確認できない住民票を職権で消除できると定めている。
その結果、児童の住民票が消除されると、自治体からの健康診断の案内や小学校就学通知の送付が停止される。
たとえ別の場所で生活し生存していたとしても、新たな転入届が提出されなければ、各種の行政サービスを受けられないだけでなく、児童虐待など生命に直結する事案が発生しても、警察や行政が把握できない恐れがある。
八尾市は2004年、住民基本台帳法に基づき住所地の現地調査を行った後、祖父の申請を受けて玲奈さんの住民票を職権で消除した。その後、転入届が提出されなかったため新たな住民登録はなされず、玲奈さんは2006~2007年頃に叔父からの暴行を受けて死亡したとみられている。
この事件を受け、『朝日新聞』は、職権消除された18歳未満の児童のうち、行方不明となっているケースがどの程度あるのかについて、各自治体に調査を実施した。
調査は、東京23区を含む全国74自治体を対象に行われ、総務省が児童の職権消除への対応指針を示した2015年以降を調査期間とした。
このうち70自治体が回答し、16自治体が「居住地や行方が分からない児童がいる」または「把握できていない」と明かした。結果として、所在が不明となった、もしくは遡って検証できない児童は計197人に上ることが分かった。













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