
来年の中間選挙を前に、アメリカ民主党は「手頃な生活費」という言葉を必勝カードとして掲げた。歴代大統領が、厳しい経済状況の中で行われた選挙で常に敗北してきた点に着目したのだ。
11月行われたニューヨーク市長選挙が代表的な成功的な例だ。この選挙では政治経歴5年の政治初心者である、民主党でニューヨーク州下院議員であるゾーラン・マムダニ氏が「生活できる都市を作る」というスローガンを前面に出し、政界の大物無所属のアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事を打ち破った。バージニア州ではアビゲイル・スパンバーガー前連邦下院議員が「生活費負担軽減計画」を掲げ、共和党のウィンサム・アール=シアーズ副知事を破って知事に当選した。テネシー州では敗北したが、最後まで健闘した民主党の候補、アフティン・ベン氏は選挙期間中ずっと、物価の高さを指摘していた。「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は「この夏の間に『手ごろな生活費』という言葉は民主党の重点的な政治メッセージとなった」と報じた。

トランプ大統領はこのような攻撃を防ぐためにジョー・バイデン前大統領に矛先を向けているが、成功した結果は出ていない。彼は「生活物価の安定といった議題は民主党の詐欺だ」とし、「私はバイデンから最悪の経済状況を引き継いだ」と主張している。最近では逆に民主党のフレームを借用して「私は生活費の負担を下げる大統領だ」とも言っている。
アメリカの選挙史において高物価に苦しむ与党が選挙で勝利した前例は事実上なかった。1932年の大統領選挙では共和党ハーバート・フーヴァー大統領は世界恐慌が発生し、政府主導の強力なニューディール政策を掲げた、民主党フランクリン・ルーズベルト候補に惨敗した。1980年にはジミー・カーター大統領もスタグフレーション(景気後退の中での高物価)が現れ、共和党ロナルド・レーガン候補に敗北した。1992年の大統領選挙では「経済じゃないんだ、愚か者」というスローガンを掲げた民主党ビル・クリントン候補が共和党所属のジョージ・H・W・ブッシュ大統領を打ち破った。
















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