ロシア「武力行使の権限はない。海賊行為だ」 米ホワイトハウスは「無国籍船」
米国、別件でカリブ海でも無国籍の「シャドー・フリート」タンカー1隻を追加拿捕

米国は7日(現地時間)、軍を動員し、ベネズエラと関係があるとされるロシア籍のタンカーを、アイスランドと英国の間の北大西洋で拿捕した。
米欧州軍(EUCOM)は同日、X(旧ツイッター)で、米司法省と国土安全保障省が国防総省と連携し、タンカー「ベラ1号」を対米制裁違反として拿捕したと発表したと明らかにした。米沿岸警備隊の巡視船「マンロー」による追跡の後、米連邦裁判所が発付した令状に基づき、北大西洋で拿捕されたとも説明している。
「ロイター通信」や米紙「ニューヨーク・タイムズ」などによると、米国は昨年12月21日、同船が米沿岸警備隊の乗船要請を拒否して逃走したとして、2週間以上にわたり追跡してきた。米メディアは航空追跡サイトの情報として、米軍の特殊作戦用航空機U-28Aが英国スコットランド北部の空港に展開した後、アイスランド方面に向けて飛行したと報じた。潜水艦探知などに用いられる哨戒機P-8ポセイドンや、空中給油機KC-135が周辺海域へ向かう動きも確認されたという。
英国も作戦を支援した。英国防省は声明で、米国の要請に基づき事前に計画された作戦支援を提供したとし、支援は国際法を完全に順守する形で行われたと強調した。
問題のタンカーはイランを出港し、ベネズエラ産原油を積載する目的で同国へ向かう途中、米沿岸警備隊の取り締まり対象になったとされる。その後、船体側面にロシア国旗を描き、ロシア籍として登録した上で、船名を「マリネラ号」に変更したという。
米国は、ベネズエラ原油取引に関与する企業・船舶への制裁を進める一方、制裁逃れに関与するとされる「シャドー・フリート」のタンカーを相次いで拿捕してきた。ベラ1号も、ロシア、イラン、ベネズエラ産原油を国際制裁に反して運搬してきたとされる船団の一隻だと位置づけられている。
ホワイトハウスのカロライン・レビット報道官は記者会見で拿捕を認め、「制裁対象の原油を輸送した、ベネズエラのシャドー・フリートに属する船舶だ」と述べた。さらに、トランプ大統領が、ベネズエラを往来する制裁対象タンカーの「完全封鎖」を指示していることを踏まえ、現政権は制裁政策を徹底して執行する考えを示した。乗組員についても、連邦法違反で起訴対象になり得るとして、必要に応じて米国で裁かれる可能性に言及した。
ロイター通信は米当局者の話として、拿捕の時点で潜水艦を含むロシア軍艦が周辺海域にいたものの、作戦地点との距離は不明だと伝えた。追跡が続く段階で、ロシア側が外交ルートで追跡中止を求めたとも報じられており、今回の拿捕が米露間の緊張をさらに高めかねないとの見方も出ている。

ロシアは直ちに反発した。「タス通信」によると、ロシア運輸省は声明で、公海では航行の自由が認められており、いかなる国も他国に登録された船舶に武力を行使する権利はないと主張した。ロシア外務省も、米軍がロシア籍のマリネラ号に乗船したとの報道を注視しているとした上で、乗組員にロシア国籍者がいる場合は人道的に遇し、速やかに帰国させるよう求めた。国家院(下院)のレオニード・スルツキー国際問題委員長は、海洋法や国連の枠組みに反する「21世紀型の海賊行為」だとして強く非難し、制裁を理由とする船舶拿捕は正当化できないと訴えた。
これに対し、レビット報道官は、当該船舶は虚偽の国旗掲揚が確認された後、「無国籍船」と見なされたとの立場を示し、ロシア籍の船舶とは扱えないと反論した。
また米南方軍は別件として、同日未明の作戦で、国防総省が国土安全保障省と連携し、制裁対象の無国籍タンカー1隻を拿捕したとXで発表した。「ニューヨーク・タイムズ」は、この船が「ソフィア号」を名乗り、カメルーン国旗を掲げていたと伝えている。
















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