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トランプ「NASAは金食い虫」予算24%削減案に議会がNO、政権に異例の”歯止め”

荒巻俊 アクセス  

引用:NASA
引用:NASA

宇宙科学界「最悪の事態は回避」 惑星探査や人材育成、中断の危機を免れる

トランプ政権下で「金食い虫」とみなされ…来年度に再び大幅削減の試みも

今年、米航空宇宙局(NASA)の予算を前年から約4分の1削減しようとしたトランプ政権の強硬な計画に、ひとまず歯止めがかかった。米議会が、NASAの予算削減を事実上無力化する内容の予算案を作成し、公表したためだ。

この予算案は、上下両院に所属する共和党と民主党の合意の下で作成された。トランプ政権による大幅な予算削減が実施されれば、惑星探査や人材育成を含むNASAの中核的な活動が深刻な打撃を受けかねないとして、米宇宙科学界が強く反発していた。こうした声を受け、議会が超党派の姿勢で政権案を退けた形となった。”

ただし、NASAを「多額の予算を消費するだけの機関」とみなすトランプ政権の姿勢に変化の兆しは見られず、予算削減への懸念は当面、続くとみられている。

NASA予算、昨年水準に「Uターン」

米上院・下院はこのほど、2026会計年度にNASAへ244億ドル(約3兆8,600億円)を配分する連邦政府予算案を最終的にまとめた。前年の予算額248億ドル(約3兆9,300億円)と比べると約1.6%の減少となるが、規模としてはほぼ前年度水準を維持した形だ。

この予算案は、トランプ大統領の署名を経て、今月末までに正式に確定する見通しとなっている。米国の代表的な科学者団体である「惑星協会」は、今回の対応について「災害は回避された」と評価し、「米国が宇宙分野で優位性を保つための軌道に再び乗った」との見解を示した。

中国と宇宙開発競争を繰り広げるNASAの予算が実質的に現状維持となったことに、米国の科学界が歓迎の意を示しているのは、一見すると意外に映るかもしれない。しかし、その背景には明確な理由がある。

昨年上半期、トランプ政権はNASAの当年度予算として188億ドル(約3兆円)を提示し、議会に予算審議を求めた。これは前年度比で24.2%もの大幅削減にあたる。

NASAの年間予算は、これまで通常10%未満の範囲で増減してきた。仮にトランプ政権の方針がそのまま実行されていれば、NASAは1958年の設立以来、最大規模の予算削減に直面する可能性があった。結果として予算水準は維持され、NASAや宇宙科学界は胸をなで下ろしている。

小惑星探査・宇宙望遠鏡観測「一息つく」

NASAの中核組織である科学ミッション局には、72億5,000万ドル(約1兆1,500億円)が配分された。前年の73億3,000万ドル(約1兆1,600億円)とほぼ同水準だ。トランプ政権は当初、同局への配分を39億ドル(約6,100億円)にとどめる方針だった。

科学ミッション局は、宇宙から得られる基礎科学研究の成果を生み出す中枢的な存在である。火星や土星など地球外惑星への無人探査機を送り込むほか、太陽系外天体を観測する宇宙望遠鏡の運用も担う。高性能な観測機器の開発や運用が不可欠なため、多額の予算を必要とする分野だ。

基礎科学を重視しない姿勢を示してきたトランプ政権にとって、科学ミッション局は必ずしも優先度の高い対象ではなかった。そのため同局の活動を事実上停滞させる狙いがあったとみられるが、こうした思惑は結果的に実現しなかった。

今回の予算案では、国際宇宙ステーション(ISS)の支援などを含む宇宙運営分野にも41億7,500万ドル(約6,600億円)が計上された。前年の42億2,000万ドル(約6,700億円)とほぼ同水準を維持している。

将来を担う若い世代の育成を目的に、学生向けのインターンシップ提供や教員研修プログラムなどを展開する「NASA STEMエンゲージメント」には、前年と同額の1億4,300万ドル(約230億円)が配分されることになった。トランプ政権は同事業の予算を全額削減する方針を示していたが、最終的には見送られた。

予算削減に対する「公開抵抗」が大きな役割

NASAが大幅な予算削減という「爆弾」を回避できた背景には、米国の科学界による強い反発があった。NASAの元職員や現職職員300人余りは昨年7月、予算削減に反対する集団声明を発表し、「NASAが弱体化し、人員にも壊滅的な影響を及ぼしている」と政権の姿勢を厳しく批判した。

実際、昨年初めにトランプ政権が発足した後、NASAは予算縮小に備え、全職員約1万7,000人のうち3,000人余りを先行して削減していた。

昨年10月には、科学者や市民ら300人余りがNASAを守るため、ワシントンで抗議行動を展開した。議会の主要人物に対して電子メールを送ったり、電話で働きかけたりする運動も行われた。こうした取り組みが重なり、結果として予算は守られた。

ただし、政権は依然として、NASAが月や火星に宇宙飛行士を送り込む有人探査任務に重点的に取り組むことを求めている。これを通じて鉱物資源採掘の基盤を整え、宇宙覇権競争で主導権を握る狙いがある。

人を宇宙船に乗せて地球の外へ送り出せば、視覚的にも華やかな成果を演出でき、政治的実績として打ち出しやすい側面がある。

このため、NASAを対象とした来年度予算の編成過程で、トランプ政権が再び大幅な削減案を持ち出す可能性は依然として高い。米国の科学界はもちろん、NASAと協力関係にある世界各国の研究者たちの懸念も、当面は拭えそうにない。

荒巻俊
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