
ドイツが、兵役に対するZ世代の懐疑的な姿勢を背景に、募兵目標の達成に苦戦しているとの報道が出た。ドイツは2011年に徴兵制を廃止したが、ウクライナ戦争の勃発以降、ロシアの侵攻に備えた再軍備を進める中で、徴兵制の復活も検討対象に入っている。
18日付の米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」によると、ドイツは今年1月1日付で新たな兵役制度を導入した。基本は志願制を維持する一方、兵員が不足した場合には強制的に徴集できる仕組みを盛り込んだとしている。
これに伴いドイツは今月から、2008年生まれの男女約70万人を対象に、身体条件や入隊意思を問うアンケートの発送を開始した。回答は男性に義務付けられ、男性は入隊意思の有無にかかわらず身体検査を受けなければならない。
ただ、新制度の導入が伝わると、数万人規模の10代の学生らが街頭で抗議デモを行った。参加者は「連邦予算の4分の1を高齢者年金の支給に注ぎ込む国のために、なぜ自分たちが犠牲にならなければならないのか」と主張した。16歳の学生は「戦闘で死ぬ危険を冒すくらいなら、ロシアの占領下で暮らす方がましだ」と述べ、17歳の学生は「戦争になったらドイツを離れ、海外にいる祖父母のもとへ行く」と話したという。
「WSJ」は、こうした反発の背景に経済的要因があると指摘した。厳しい雇用環境や高い生活費に直面する若者が、兵役を「上の世代のために犠牲になれ」という要求として受け止め、怒りを強めているという。ベトナム戦争や冷戦、欧州で核戦争が起きかねないという恐怖の影響を受けた1970~80年代のドイツ平和運動とは、性格を異にすると分析した。


10代の反発に、20代も共感を示している。インフルエンサー兼ポッドキャスターとして活動するシモン・ドレッスラー氏(26)は「政治的自由を守るために暴力が必要だった時代があったことは理解している」としつつ、「今では比較的恵まれた背景を持つ人でさえ、家を持つ希望すらない」と語った。その上で「こうした状況で政府は民主主義を守るためだとして兵役を求めている。いったい誰の利益を守るために戦うのか」と疑問を呈した。大学生のベネディクト・ツァッハー氏(25)も「民主主義では国家のために何かをすれば、その見返りとして何かを得られる」と述べ、「しかし学生たちは国家から何も得られないと感じ、その結果、より自分本位になっている。そうなるのも無理はない」と指摘した。
ドイツ政府もZ世代の不満を認識し、入隊を促すためのインセンティブを打ち出している。新制度の下で志願入隊した新兵には、月給として最大3,144ドル(約50万円)が支給され、従来より932ドル(約15万円)増額された。また、ドイツで4,500ドル(約71万円)以上かかる運転免許取得費用の大半を国が負担するという。ただ、この措置により、一部の10代新兵が将校より高い報酬を得る可能性が生じ、若手将校の間では不満の声も出ていると伝えられた。
こうした中、ドイツは当面の目標を抑えめに設定した。ボリス・ピストリウス国防相は議会宛ての書簡で、今年の新規入隊者の目標を2万人と示した。ドイツ国防省は、現在18万4,000人の現役兵力を2035年までに26万人へ拡大する方針を掲げているが、達成には年間6万~7万人の新兵確保が必要になるという。
















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