
米国がレアアースに続き、ガリウムでも自前の供給網づくりを急いでいる。世界の供給量の約99%を握る中国が、ガリウム輸出を交渉カードとして使い始めたためだ。米国は中核パートナーとして韓国の高麗亜鉛を選び、合弁会社(JV)を設立したうえで、複数年にわたる大型投資に踏み切る方針を固めた。中国の低価格大量供給とは別に、高純度品を安定生産できる体制を整え、中国依存の引き下げを狙う。
10日(現地時間)、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、J・D・バンス米副大統領が「中国がガリウム市場を掌握したことで、市場が見分けがつかないほどゆがんだ」との趣旨を語ったと報じた。バンス副大統領は、こうした状況が戦略投資や分散投資を難しくしているとも指摘し、米政権として供給網の立て直しに巨額資金を投じる考えを示したという。
供給網構築の柱は、高麗亜鉛と設立するJV「クルーシブル」だ。米国はこのJVに19億ドル(約2,910億円)を投じる。クルーシブルはさらに47億ドル(約7,200億円)をかけ、テネシー州クラークスビルに国内初のガリウム生産施設を建設する計画で、ガリウムやアンチモンを含む重要鉱物11種と非鉄金属13種を生産対象に据えた。2030年から年産最大54万トンを目標とし、用地取得に加えて、亜鉛工場や製錬所の買収も進める構えだ。

米国がガリウムの確保を急ぐ背景には、米中対立の激化がある。中国は2023年8月からガリウムとゲルマニウムの輸出規制を導入し、2024年12月にはガリウムの対米輸出を全面的に禁じた。ガリウムは軍事関連システムや自動運転車、ノートパソコン用の高速充電器など幅広い用途を持ち、先端産業の競争力に直結する素材として位置づけられている。
中国が輸出を絞るなか、価格も跳ね上がった。ロンドン金属取引所の指標ではガリウム価格が2年で3倍に上昇し、今年1月の平均価格は1kg当たり1,572ドル(約24万円)と過去最高を記録した。2030年までに世界需要が約24%増えるとの見通しもあり、調達の重要度が一段と増している。
米国が高麗亜鉛と組むのは、多国間枠組み「FORGE(フォージ)」の取り組みにも位置づけられる。バンス副大統領は4日、ワシントンの国務省で開かれた重要鉱物の閣僚級会合で、二国間連携を軸にした貿易ブロック構想を表明した。米経済が重要鉱物にどれほど依存していたかを多くの人が痛感したとして、高麗亜鉛の計画を非鉄鉱物協力の優良事例として取り上げたという。
クラークスビルが最初の拠点に選ばれたのは、用地や製錬所、周辺資産を一括で確保できる点が大きい。現地の製錬所は赤字が続くものの、高麗亜鉛は投下資金に見合う成長余地があると見ている。熟練人材を引き継ぎながら操業ノウハウを定着させ、施設に蓄積した廃棄物を中間材の原料として活用すれば、新たな鉱物を比較的容易に回収できるとの考えも示された。
資金面でも条件が付く。米国は大規模投資の見返りとして、ガリウム製品を優先的に購入できる優先権を求めた。加えて、JV向けに資金を貸し付ける代わりに、米政府が株式を取得できる新株予約権も付与した。新株予約権は1株当たり1セント(約1.5円)で最大14.5%の取得が可能で、製錬所の企業価値が150億ドル(約2兆3,000億円)に達した場合、追加で20%を確保できる仕組みだ。
高麗亜鉛側は、廃棄物や廃資源とされる材料から価値ある鉱物を取り出す技術を持つと説明する。これを買い取り、新たな鉱物に作り替えられれば原料費を抑えられ、採算性が上がるという。海外需要に応じて抽出する鉱物の比率を変えられる技術もあるとして、柔軟なライン運用でコストを下げつつ供給量を増やせると強調した。
米国はこのほか、オーストラリア、日本と資金を拠出し、西オーストラリア州ワジャラップのアルコア工場で世界需要の約10%に相当するガリウムを生産する計画も進めている。ルイジアナ州でもガリウム回収事業の推進が検討されている。
















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