
ドナルド・トランプ米大統領は1月30日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、自身が課した関税について、負担は米国ではなく外国の生産者や仲介業者、大企業に圧倒的に転嫁されたと主張した。
これに対し、ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)と米コロンビア大学の経済学者らは12日、2025年11月までに課された関税の約90%を米国の企業と消費者が負担したとする報告書を公表したと、米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
関税は輸入者が納付する仕組みで、輸入業者は販売価格の引き上げや、仕入れ先の納入価格の引き下げなどを通じて負担を移転できる。トランプ大統領や側近は、外国の供給業者が米国市場を手放せないため、関税コストの大半は供給側が吸収し、価格を下げざるを得ないと説明してきた。
トランプ大統領は寄稿文で、輸出依存度の高い国々は余剰生産による損失拡大を避けるため、関税を「飲み込む」しかなかったとも述べた。ただ、報告書が示す結果は、この見立てと一致しない。供給業者が値下げで対応した例は一部にとどまり、全体としては大半が価格を下げなかったという。
NY連銀の研究チームは、2024年1月から2025年11月にかけて関税コストの多くが米国の企業と消費者に回ったと分析した。とりわけ2025年1~8月は、関税負担の94%を米側が引き受けたとしている。
報告書によれば、大企業は必ずしも消費者向け価格を引き上げずに関税を吸収できた。交渉力を背景に輸出業者と値引き交渉を進めたり、調達先を関税の低い国へ切り替えたりして対応したためだ。関税発効前に在庫を積み増し、貿易協定の成立を見込みながら価格転嫁を抑える企業もあったという。
一方、中小企業は交渉力が弱く、仕入れ価格の引き下げが難しかった。利益率も相対的に低いため、在庫積み増しなどのコストを賄えず、価格を上げなければ資金繰りが行き詰まりかねない状況に追い込まれたとされる。
ただ、関税の影響は当初の想定ほど大きくは出なかったという。値上げすれば顧客が離れるとの懸念から、企業が価格転嫁をためらった面があり、関税が一部輸入品の価格を押し上げたものの、消費者物価の急騰には直結しなかった可能性がある。
しかし、こうした状態が長く続くとは限らない。多くの企業は在庫を取り崩しつつ輸入のタイミングを遅らせることで関税負担を先送りしてきたが、在庫が減れば先送りの余地は小さくなるためだ。
報告書はまた、契約再交渉が進むにつれて年末に向かい、外国の供給業者が負担する割合が増え始めたと説明した。それでも2025年11月時点では、関税の86%を米国の企業と消費者が負担しているという。
さらに、この1年で米国の平均関税率が2.6%から13%へ上昇し、関税の影響で米国の輸入品価格が11%上がったと報告書は結論づけた。













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