
イラン革命防衛隊(IRGC)によるホルムズ海峡封鎖を受けて日本、中国、インド、東南アジア諸国など中東産原油への依存度が高いアジア各国が経済・物流面での衝撃に直面している。
世界の海上原油輸送量の約20%がホルムズ海峡を通過し、そのうち約8割がアジア向けとされる。封鎖が長期化すればアジア全体がエネルギー安全保障の危機に陥る可能性が高いという。
世界最大の原油輸入国である中国は経済的影響を注視している。
中国はロシアと並びイランと緊密な関係を維持し、2016年の習近平国家主席のテヘラン訪問以降、戦略協力を強化してきた。中国はイラン産原油の最大の購入国で、昨年はイラン原油輸出の8割以上を購入し、日量約138万バレルを輸入した。これは中国の海上原油輸入の約13%に相当する。
中国の原油輸入の約3分の1がホルムズ海峡を通過するとされ、ホルムズ海峡封鎖が長引けば供給不安や価格急騰は避けられない。さらに、中国はメタノールやポリエチレンなど化学原料もイラン依存が高く、産業界への打撃も懸念される。
中国メディアの新郎財経は「原油価格の上昇だけでなく、原材料の供給支障、コストの急増、物流の麻痺という三重の衝撃が予想される」と分析した。CICC(中国国際金融)も航空・海運などの輸送分野や中国の輸出全般に影響が広がる可能性があると見通した。
日本も原油輸入の95.9%を中東に依存している。内訳はアラブ首長国連邦(UAE)が43.6%、サウジアラビアが40.1%、クウェートが6.4%、カタールが4.1%を占める。主要海運会社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)はすでにホルムズ海峡での運航を中止し、船舶を安全海域へ移動させた。
日本は政府・民間を合わせて原油254日分とLNG3週間分を備蓄しているが、内閣やメディアは封鎖が続けば供給支障や価格急騰は避けられないと懸念している。日本総合研究所(JRI)は原油価格が1バレル120ドル(約1万8,900円)まで上昇し、最悪の場合は日本のGDPが約3%減少する可能性があると明らかにした。野村総合研究所は原油価格が140ドル(約2万2,000円)に達した場合、GDPが0.65%減少し、物価は1.14%上昇するとの試算を示した。NHKは円安と重なった場合、物価上昇圧力や金融市場の不安も一段と強まる可能性があると伝えた。
インドは米国との貿易交渉の妥結を受けてロシア産原油の輸入をほぼ停止し、中東依存を大幅に高めていた状況で今回の封鎖による直撃を受けた。ロイターはインドの原油輸入の40%以上が輸送支障の影響を受ける見通しだと報じた。エネルギー分析会社Kplerによると、インドのLNGの約3分の2、LPGの95%が中東産であり、その大半がホルムズ海峡を通過しているという。

インドは2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア産原油の最大の輸入国となっていた。しかし、先月初めに米国と暫定的な貿易協定の枠組みに合意した後、ロシア産原油の購入を最小限の水準まで削減し、不足分を中東産で補ってきた。だが今回の事態により原油取引に支障が生じ、中東向け貨物輸送も中断されるなど状況は極めて不安定だと、インド政府高官がブルームバーグに明らかにした。
インドのインダスインド銀行のガウラブ・カプール・エコノミストは、原油価格が1バレル当たり80ドル(約1万2,600円)以上で推移した場合、インドの経常収支赤字が約100億ドル(約1兆5,730億円)拡大し、ルピー安や燃料価格の上昇を招く可能性があると分析した。ブルームバーグによると、インド政府と国営石油精製会社は先週末に緊急対策会議を開き、ロシア産原油の輸入再開案についても検討しているという。
インド石油・天然ガス省の関係者らは、民間・政府の戦略備蓄を合わせた在庫は最大で約2週間分にとどまるとして、外務省に対し対米交渉を促したと伝えられている。石油精製会社は約6日分の戦略備蓄の活用やベネズエラ産原油の迅速な導入を模索しているほか、サウジアラムコに対し、ホルムズ海峡経由ではなく紅海ヤンブー港経由での輸送を要請したとされる。
東南アジアでは、石油輸入依存度の高いタイやフィリピンなどで、経済的打撃への懸念から通貨が下落した。イランおよび周辺国の領空閉鎖により中東上空の航空路が遮断され、欧州・東南アジア間の航空運航にも支障が生じており、観光業への打撃は避けられない見通しだ。インド最大の航空会社であるインディゴをはじめ、エア・インディア、マレーシア航空、シンガポール航空などがUAEやサウジアラビアなどへの運航を中止したとロイターが報じた。これを受け、ベトナムなど東南アジアの旅行会社では、欧州発・中東経由の旅行商品のキャンセルが相次いでいる。
















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