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「戦争を止めた瞬間、もっと危険になる」──イラン政権存続が招く“世界市場の爆弾”

荒巻俊 アクセス  

出典:AP通信
出典:AP通信

米国とイスラエルがイランとの戦争を早期に打ち切れば、その後、米国や同盟国にさらに大きな危険が及ぶ可能性があると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が11日(現地時間)に報じた。

原油高に加え、支持基盤である「MAGA(米国を再び偉大に)」支持層の反発にも直面しているドナルド・トランプ米大統領は、戦争が近く終わる可能性を示唆する一方、この日、米ケンタッキー州で「米国は最後までやり切らなければならない」と述べるなど、終結時期をめぐる発言に揺れがみられている。

トランプ大統領がイラン国内の軍事目標は多く残っていないとの認識を示す一方、イスラエル軍はイラン国内の軍事目標がなお数多く残っているとして、作戦終了まではまだ時間を要するとの立場を取っている。

WSJは、戦闘が早期に収束すれば、少なくとも短期的には世界市場の安定につながる可能性があるとしつつも、ミサイルやドローンに加え、核兵器製造に必要な物質まで保有するイランの神政体制が存続すれば、イランが世界のエネルギー市場を左右する状況を招き、今後あらためて地域戦争を再燃させるおそれがあるとの見方を示した。

トランプ政権で中東政策に関わった米ワシントン近東政策研究所のアンドリュー・テーブラー上級研究員は、「イラン政権が存続する限り、ホルムズ海峡を人質に取り、エネルギー価格に極めて大きな影響力を行使し続けるだろう」と指摘した。

特にイランは、中国など友好国のタンカーは通航させる一方、それ以外の国の海上輸送は遮断する「選別的封鎖」戦略を取り、地政学的影響力を最大限に高めている。

WSJはまた、イランが米軍の重要資産である防空レーダー施設などを精密攻撃する能力を示したとしたうえで、米国が湾岸地域の同盟国を見捨てれば、それらの国々を危険にさらすことになりかねず、その影響は日本、韓国、台湾などアジアの同盟国にも大きく及ぶと分析した。

最大のリスク要因はイランの核施設で、イランは現在、兵器級に近い60%濃縮ウランを地下深くに備蓄している。

核問題の専門家エリック・ブルーワー氏は、「イランに核兵器の製造を許せば、今後の核兵器開発への動機をさらに強めることになる」としたうえで、「これは一段と深刻なリスクだ」と指摘した。

WSJは、米国とイスラエルが軍事作戦を停止した後も、イランが周辺の産油国への攻撃を続ける可能性があるとも伝えた。

米国の防空兵器に依存している湾岸諸国は、表向きにはトランプ政権への不満を示していないものの、同盟関係が利益ではなく負担になりかねないとの認識を持ち始めているという。

こうした中、湾岸国際フォーラム(Gulf International Forum)のダニア・タファー氏は、「傷ついたイランこそ、湾岸諸国にとって最悪のシナリオだ」と述べ、大きな打撃を受けたイランが今後、湾岸諸国への攻撃に加え、ホルムズ海峡の通航を政治的・軍事的圧力の手段として利用する可能性があると懸念を示した。

荒巻俊
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