
世界一の高さを誇る超高層ビルや超高級ホテルが立ち並び「億万長者の遊び場」「中東の宝石」「砂漠の奇跡」と称されてきたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイが、米国とイランの戦争の影響でその名声を急速に失いつつある。
湾岸諸国の多くが石油に依存した経済構造を持つ中、ドバイは観光産業だけで年間約300億ドル(約4兆8,000億円)の収入を得るほど観光依存度が高いという。さらにドバイは所得税や譲渡税、相続税がないことから、世界中の富裕層が集まる都市として知られてきた。
しかし、イランが米国とイスラエルによる空爆への報復として周辺の湾岸諸国を攻撃し、その中でもUAEへの攻撃が集中したことで、ドバイを訪れていた外国人たちの脱出が相次いでいる。
英紙ガーディアンによると、湾岸諸国に対するイランの攻撃の約3分の2がUAEに向けられたという。UAEが西側諸国と緊密な軍事・情報協力関係を築いているうえ、ドバイが世界金融と西側観光の中心地の一つであることから、攻撃が集中したとみられる。
UAEはイランが発射した約1,700発のミサイルやドローンの90%以上を迎撃したとされるが、軍事基地や空港など主要施設が被害を受け、ドバイの人工島パーム・ジュメイラにあるフェアモント・ザ・パームホテルも損傷を受けた。またデータセンターも攻撃を受け、ドバイ住民の携帯電話通信が一時的に使えなくなる事態も起きた。
こうした状況を受け、シティバンクとスタンダードチャータード銀行は11日(現地時間)、安全への懸念が高まったとしてドバイの従業員を退避させた。
ドバイで16年間学校長を務めてきた英国人のジョン・トラディンガー氏は「確実に輝きが失われた」と語る。英国出身の教師100人以上を雇用していたが、戦争以降、多くが衝撃を受けて去り、戻ってこないだろうと話した。
多くの外国人が去る中、ドバイには生活のために働きに来ている外国人労働者が多く残っている。ドバイには約200万人のインド人、約70万人のネパール人、約40万人のパキスタン人などが居住しており、彼らは自由に帰国できない場合が多いという。
戦争開始後、UAEで死亡した4人のうち3人はパキスタン、ネパール、バングラデシュ出身の外国人労働者だった。また同日、ドバイ空港近くで発生したドローン攻撃により、ガーナ人2人、インド人1人、バングラデシュ人1人が負傷した。
さらに、外国人の脱出に伴い置き去りにされたり、飼育放棄されたペットたちがドバイの街や動物保護施設にあふれているという。
ドバイ当局は「大きな爆発音は防空網が安全を守っている音だ」として市民を安心させようとしているが、SNSでは戦争への恐怖が広がっている。これを受け、ドバイ警察は公式発表と矛盾する情報や社会的恐怖をあおる内容を共有したインフルエンサーを拘束する可能性があると警告した。
UAEザイード大学のハーレド・アルメザイニ教授は「すでにドバイはかなりの損失を被っている」と指摘する。「現時点ではUAE経済が耐えられる水準だが、戦争が今後10日から20日続けば、観光や航空、外国企業、石油産業に与える影響は極めて深刻になるだろう」との見方を示した。
















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