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「世界遺産まで攻撃」…戦争のルールが崩壊した日、ロシアの一線越えに震える欧州

梶原圭介 アクセス  

ロシア、ドローン948機でウクライナに大規模攻撃…中東情勢の隙を突く

世界遺産にも無差別攻撃

ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻以降、最大規模となるドローン攻撃を実施した。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と北朝鮮の金正恩総書記が初の対面会談を行い、侵攻に関与する独裁政権間の三角関係が浮き彫りとなっている。米国はウクライナへの支援を予定していた兵器の一部を中東に振り向ける案を検討しているとされる。国際社会の関心が米国・イスラエルとイランの戦争に向かう中、ウクライナは相次ぐ悪材料に直面している。

米国のシンクタンクの戦争研究所や英国のBBCなどによると、ロシアは23日からの24時間でドローン948機をポルタヴァ、ザポリージャ、ヘルソン、ハルキウなど各地に投入した。侵攻開始以来、24時間内のドローン攻撃としては最大規模となる。少なくとも7人が死亡した今回の攻撃は、手法の面でも従来と異なる様相を見せた。通常は夜間に行われるドローン攻撃だが、今回は半数以上が昼間に飛来し、日常生活を送る民間人を狙ったとみられる。

引用:X
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ロシアのドローンは、ユネスコ世界文化遺産に登録されているリヴィウ歴史地区のベルナルディン修道院も攻撃した。17世紀初頭にイタリア人建築家が設計したこの修道院は、ウクライナを代表する建築遺産の一つだ。ユネスコは緊急声明を発表し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「イランが設計しロシアが改造したドローンがリヴィウの教会を攻撃した」と非難、ロシアのユネスコからの除名を求めた。ロシアは25日、チェルニヒウ州にもドローン147機を追加投入し、エネルギー施設などを攻撃した。

ロシアとウクライナの停戦交渉を主導していた米国がイランとの戦争に踏み切り、ウクライナの同盟国もイラン情勢への対応に追われる中、ロシアがドローンによる奇襲を仕掛けた可能性がある。ウクライナもこれに対抗し、バルト海沿岸のロシアのウスチ・ルーガ港の原油貯蔵施設などをドローンで攻撃したと現地メディアが報じた。

一方で、防御態勢の強化が急務となっているウクライナにとって、状況は不利に展開している。ワシントン・ポストは26日、米国防総省がウクライナ向けに予定していた兵器の一部を中東に振り向ける案を検討していると、3人の当局者の話として報じた。イランとの戦争が長期化する中、兵器の備蓄が急速に減少していることが背景にあるとみられる。中東への転用が検討されている兵器には迎撃ミサイルも含まれるという。昨年以降、欧州のNATO加盟国は米国製兵器を購入してウクライナに供与し、抗戦を支えてきた。しかし、米国がイランとの戦争対応を優先してこの枠組みを変更・停止すれば、ウクライナの戦力に深刻な影響が出る可能性がある。

実際、米国とイランの戦争開始後、米国のドナルド・トランプ大統領のウクライナへの関心は急速に薄れているとみられる。トランプ大統領は25日、記者団に対し「私は8つの戦争を解決した。ロシアとウクライナはそれよりはるかに簡単なはずだったが、プーチンとゼレンスキーは互いに深く憎み合っている」と述べた。膠着状態の原因を両首脳の感情に帰するかのような発言だった。

こうした状況の中、ロシアのウクライナ侵攻を公然と支持してきた北朝鮮とベラルーシが接近している。北朝鮮を訪問中のルカシェンコ大統領は26日、平壌で金正恩総書記と会談し、友好協力条約を締結した。1994年に政権を握ったルカシェンコ大統領は1997年に韓国を訪問したことがあるが、北朝鮮訪問は今回が初めてだ。金正恩総書記は、ルカシェンコ大統領から贈られた銃を手に取り、照準を合わせたり引き金を引いたりするなど、強い関心を示した。

北朝鮮はロシアに兵力や武器を大量に提供しており、ベラルーシはロシアが2022年2月にウクライナへ侵攻した際、自国領土を侵攻ルートとして提供した。ベラルーシはソ連崩壊後、韓国との関係を重視してきたが、侵攻をめぐりロシアとともに国際社会で孤立する中、北朝鮮の派兵が本格化したことを受け、両国の関係は急速に接近している。

「ウクライナ侵攻」を軸に結びついたこれらの政権による三角同盟が本格化する可能性も指摘されている。ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記、ベラルーシのルカシェンコ大統領はいずれも事実上の長期政権を維持しているという共通点がある。22日、金正恩総書記が国務委員長に再選出されると、プーチン大統領に加え、ロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教も祝意を表明した。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は25日の会見で、米国と韓国の定例軍事演習「フリーダム・シールド」を戦争準備行為だと非難し、日本がウクライナを軍事支援しようとする動きについて強力な報復の可能性を警告した。こうした発言には、金正恩総書記とルカシェンコ大統領の会談に合わせ、三角同盟の結束を強調しようとするプーチン政権の意図があるとの分析も出ている。

梶原圭介
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