
政府が射程1,000キロ以上の長距離攻撃が可能な無人機を自衛隊に導入する案を検討している。長距離ミサイルと組み合わせた「複合攻撃」体制を構築し、反撃能力の実効性を高めるとともに中国や北朝鮮を狙った抑止力の強化を図る動きだ。
1日付の読売新聞によると、政府・与党は長距離攻撃型無人機の導入を検討しており、年内に改定予定の「安保関連3文書」(国家安全保障戦略など)に盛り込む方針だ。2022年の安保戦略改定で導入した「反撃能力(敵基地攻撃能力)」を補完する後続措置と位置付けられる。
政府が検討している無人機は航続距離1,000キロ以上を想定しており、目標に直接突入する自爆型が有力とされる。また、航空機や潜水艦から発進するタイプのほか、水中・水上を移動する各種無人機の導入案も議論されている。
今回の検討が本格化した背景には、最近の戦争様相の変化が直接影響したとみられる。政府はロシアのウクライナ侵攻や米国・イスラエルによるイラン攻撃などで表れた戦闘のあり方を「新たな戦い方」と定義し、対応の必要性を検討してきた。特に、ドローンとミサイルを組み合わせた攻撃が実戦で使われる中、従来のミサイル中心の戦力だけでは対処が難しいとの認識が広がっていることが背景にある。
すでに長距離打撃手段として射程1,000キロを超える「25式地対艦誘導弾」を陸上自衛隊熊本県の健軍駐屯地に配備した。射程1,600キロ以上の米国製巡航ミサイル・トマホークの導入も進めている。これに、比較的安価で大量確保が可能な無人機を組み合わせ、迎撃が難しい多層的な攻撃体制を構築する構想だ。
ミサイルとドローンの「複合攻撃」…戦争方式の転換
今回の構想の核心はコストと運用方法の変化にある。報道によると、攻撃型無人機1機の価格は約560万円でロシアの巡航ミサイル・カリブル1発(約1億6,000万円)と比べて大幅に安い。高額な長距離ミサイルだけに依存してきた従来の方式から、低コストの無人機を大量運用する形へ転換しようとする狙いがうかがえる。
実際、ロシアはウクライナ戦争でイラン製のシャヘド無人機とミサイルを組み合わせた複合攻撃を活用している。米国もイランとの衝突の過程で、航続距離1,000キロ級の無人機ルーカス(LUCAS)を投入したとされる。政府はこうした戦争様相が現実化した中、対処能力を早期に確保する必要があると判断したとみられる。
こうした変化は東アジアの軍事情勢にも影響を及ぼす可能性が大きい。中国と北朝鮮が極超音速兵器や長距離ミサイルの開発を加速させる中、長距離ドローンまで保有することになれば、打撃手段の多様化は避けられない。特に、ミサイルと無人機を同時に運用する複合攻撃体制は、既存の防空網では対処が難しく、域内の軍拡競争をさらにあおる可能性があるとの見方も出ている。
政府は無人機導入によって長期戦への対応能力も強化する考えだ。比較的安価な無人機を活用して継続的な打撃力を確保し、ミサイル戦力との組み合わせで抑止力を高める戦略といえる。戦後の「専守防衛」原則の下で防御中心にとどまってきた安全保障戦略が、徐々に攻撃的抑止を重視する方向へ変化していることを示す内容として評価される。
















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