
イランの今後が、国際社会の期待とは逆に、北朝鮮型の「兵営国家」へと固まる恐れがあるとの警告が出ている。中東の主要国が思い描くシナリオとは正反対の方向に進みかねない、という分析だ。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)でシニア・アソシエート・フェローを務めるH・A・ヘリヤー氏は、米国の外交専門誌『フォーリン・ポリシー』への寄稿で、イランの将来を三つの進路に分けて示した。キューバ、シリア、北朝鮮のどのモデルに近づくかによって、中東情勢は大きく左右されるとしている。
まず、ペルシャ湾岸諸国が望んでいるのは、イランが外部と限定的に距離を置きながら、国内統制を保つ「キューバ型」だという。このシナリオでは、イランの影響力は徐々に低下し、外部への脅威も自然に弱まると見込まれている。
これに対し、イスラエルはさらに急進的な展開を視野に入れていると分析した。中央政府の統制力が弱まり、軍事力が分散する「シリア型の内戦状態」を通じて、イランの地域的影響力を根本から断とうとする発想だ。国家の分裂や崩壊に伴う混乱も、一定程度は受け入れる構えと解釈できる。
ただ、ヘリヤー氏は、こうした期待が現実とずれる可能性を重くみている。イランがキューバでもシリアでもなく、北朝鮮に近い道を選ぶ危険性は相当に高いと指摘した。
とりわけ、米国の政策の変動と中東域内の利害衝突が重なれば、最も統制しにくい結果を招きかねない。外圧が強まるほど体制は硬直し、軍事を軸とした国家構造が強化される「北朝鮮型の生存戦略」が働く恐れがあるという。
その場合、イランは孤立を受け入れつつも、核と軍事力を基盤に体制を維持する強硬な兵営国家へ再編される可能性がある。同時に、国内では分裂圧力にもさらされ、シリア型の不安定さが一部重なる複合シナリオも排除できないとみている。
ヘリヤー氏は、イスラエル、米国、湾岸諸国が今回の戦争にどのような結果を期待していたとしても、最終的にはさらに悪い事後状況に直面する恐れがあると警告した。イランを抑え込もうとする戦略そのものが、かえって危険を増幅させる可能性があるとしている。
















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