
イランで雇用市場の崩壊リスクが高まっている。労働人口の約半数が失業の危機に直面しているとの分析が示された。
イラン社会保障機構出身の経済学者ハディ・カハルザデ氏が、ブールス・アンド・バザール財団(Bourse & Bazaar Foundation)に寄稿した内容によると、米国とイスラエルによる空爆で住宅や民間施設12万5,000棟以上が被害を受け、2万カ所を超える産業施設が破壊された。
同氏は12日(現地時間)、サブスタックへの投稿で「今回の戦争に隠れた標的があったとすれば、それはイランの軍事力の誇示ではなく、一般市民の生活を支える労働市場だった」と指摘した。
さらに港湾や輸送システムも大きな打撃を受け、民間インフラ被害は3,000億ドル(約47兆6,900億円)を超えると推計した。
その結果、供給網や物流網、商業サービスに深刻な支障が生じ、多くの企業が操業停止に追い込まれたという。
今回の空爆では、イラン雇用市場の中核である鉄鋼、建設、石油化学、製薬、小売部門が集中的に打撃を受けたと分析した。
特に鉄鋼産業は製造業、物流、建設全体へ波及するため重要性が高いとした。
これに加え、3月時点で72%に達したインフレ、低迷する需要、乏しい流動性、所得減少、深刻化する不確実性など、戦争の連鎖的影響が重なり、小売業も打撃を受けているという。
同氏は「攻撃の規模を踏まえると、1,000万〜1,200万件の雇用、すなわちイラン労働力の約50%が現在危険にさらされている」と試算した。
そのうえで「すべての職がすでに失われたという意味ではない。しかし多くの労働者が無給休職や解雇の影に置かれていることを意味する」と説明した。
米国とイスラエルは、イランのミサイルやドローン生産を支える防衛産業基盤を標的にしていると説明してきた。この中には軍民両用工場も含まれる。
一方、空爆は概ねエネルギーインフラを避けていたが、イスラエルはテヘラン近郊の燃料貯蔵施設や、世界最大級のサウスパース・ガス田、近隣のアサルーイェ製油施設を攻撃した。
こうした警告は、2月末の開戦前からイラン経済がすでに揺らいでいた現実とも重なる。
その後、インフレはさらに悪化し、通貨価値はさらに下落し、政権は公務員給与の支払い能力さえ脅かされる流動性不足に直面している。
さらにイラン港湾に対する米海軍の封鎖は、通貨安の悪循環とハイパーインフレを引き起こす可能性がある。
ドナルド・トランプ米大統領は17日、イランがホルムズ海峡の全面開放に合意したと述べる一方、封鎖措置は維持すると明らかにした。
実際、米国防総省は今週初め、制裁対象原油を運搬するイランの「影の船団」のタンカーまで封鎖対象を拡大すると発表した。太平洋上で船舶を拿捕する可能性もあるという。
つまり爆撃は止まっても、イラン国民と政権は深刻な経済的衝撃と向き合わなければならない状況に置かれている。
同氏は、危機にさらされた1,000万〜1,200万件の雇用のうち、30%だけが実際に失われたとしても、300万〜400万件の雇用消失になると試算した。
これは労働市場が15%縮小する計算で、イラン現代史で最大級の減少幅になるという。
失業者が急増すれば、社会保障制度は限界に追い込まれる可能性が高い。
戦争による失業対策だけで、すでに大幅赤字となっている国家予算の少なくとも20%が必要になると同氏はみている。
同氏は「停戦が維持されたとしても、イランで最も脆弱な層が今回40日間の紛争による長期的影響を背負うことになる」とし、「この戦争の皮肉は、トランプ大統領が助けると主張した人々こそ、今最も大きな犠牲を負っている点だ」と指摘した。













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