
トランプ政権下で安全保障政策の不確実性が続く中、世界の軍事費は増加傾向を維持しており、アジア太平洋地域の軍事支出は16年ぶりに過去最大の伸びを記録した。
スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が27日(現地時間)に公表した年次報告書によると、2025年の世界の軍事費は総額2兆8,900億ドル(約461兆円)となり、前年から2.9%増加した。これで11年連続の増加となる。世界の国内総生産(GDP)に占める軍事費の割合は2.5%と、2009年以来の高水準に達した。
軍事費支出額で世界上位の米国、中国、ロシアの3か国は、計1兆4,800億ドル(約235兆6,700億円)を支出し、世界全体の半分以上を占めた。
ただ、2025年の軍事費の伸び率は前年(9.7%)から鈍化した。米国の支出減少が主因とみられる。米国の軍事費は9,540億ドル(約151兆9,100億円)で、前年比7.5%減となった。ウクライナ向けの新たな軍事支援が承認されなかったことが影響したと分析されている。一方、米国を除く各国の軍事費は9.2%増加した。
これに対し、アジア・オセアニア地域の軍事費は6,810億ドル(約108兆4,400億円)と、前年比8.1%増となり、2009年以来最大の伸びを記録した。SIPRIは、米国の安全保障上の関与に対する不確実性の高まりが主な背景にあると指摘した。
国別では、中国の軍事費が3,360億ドル(53兆5,300億円)と、前年比7.4%増となり、31年連続で増加した。報告書は、この背景に、2035年までに人民解放軍の全面的な近代化を達成する目標があると分析している。
増加のペースは周辺国でより顕著だ。日本の軍事費は前年比9.7%増の622億ドル(約9兆9,000億円)で、GDP比は1.4%と1958年以来の高水準となった。SIPRIは、日本が中国や北朝鮮への安全保障上の懸念を背景に、防衛力の強化を進めていると評価した。

台湾も軍事費支出が前年比14%増の182億ドル(約2兆9,000億円)と大きく伸び、1988年以来の高い増加率となった。中国軍が台湾周辺で軍事演習を拡大していることが背景にあるとみられる。
このほか、日本やオーストラリア、フィリピンなど米国の同盟国でも、従来からの地域的な緊張に加え、米国の関与に対する不確実性を踏まえ、防衛力を強化する動きが広がっている。トランプ政権による防衛費負担の拡大要求も主な要因とされる。
欧州でも軍備増強の動きが強まっている。2025年の欧州の軍事費は前年比14%増の8,640億ドル(約137兆5,600億円)と、過去最高を更新した。特に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対する米国の防衛費増額要求が影響したとみられる。
ロシアとウクライナの軍事費もそれぞれ前年比で5.9%、20%増加し、支出額の順位はロシアが3位、ウクライナが7位となった。
専門家は、米国の安全保障政策の変化が世界的な軍備競争を一段と促し、国際的な安全保障秩序の再編につながる可能性があるとみている。
















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