イラン、戦争終結後の核協議を提案 米国は核放棄先行を崩さず

米国とイランは、ウラン濃縮の停止と経済制裁の解除を巡って隔たりを埋められないままだ。こうした中、イランがまずホルムズ海峡の開放と戦争終結を終え、その後に核問題を協議する段階的な交渉案を米国側に伝えたことが分かった。
しかし、イランへの海上封鎖をてこに強い圧力を続ける米国のトランプ政権が、この案を受け入れる可能性は低いとの見方が出ている。段階的交渉案への公式な反応はまだ示されていないものの、イランが「核放棄」を宣言して初めて交渉を再開するという従来の立場は維持している。
イラン、パキスタンを通じ「まず終戦、核協議は後」を提案
米ニュースサイトAxiosは26日(現地時間)、米当局者1人と消息筋2人の話として、「イランが米国に伝えた新たな提案には、海峡を再開放して戦争を終結させる一方、核協議は次の段階に先送りする内容が含まれている」と報じた。
イラン側で和平交渉の実務を担うアッバス・アラグチ外相が25~26日、パキスタンの首都イスラマバードを2度訪れ、こうした立場を伝えたという。
イランの半国営タスニム通信によると、アラグチ外相はこのほか、ホルムズ海峡に対するイランの法的管理権の承認、戦争被害の賠償、米国・イスラエルによる追加攻撃を防ぐ保証、イランへの海上封鎖解除の4項目を終戦条件として掲げたと伝えられている。
隔たりが埋まらないウラン濃縮問題はいったん棚上げし、喫緊の課題であるホルムズ海峡を巡る対立を先に解消しようという構想だ。まず海峡を開いて戦争終結で合意し、その後に核協議を再開する狙いがあり、アラグチ外相はパキスタン、オマーンを経て、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも会い、交渉の土台を広げている。
これに先立ち、初回交渉で米国は「ウラン濃縮の20年停止」と高濃縮ウランの国外搬出を求め、イランは「濃縮の3~5年停止」とウランの希釈を主張したとされる。
その後、水面下の接触を通じて、ウラン濃縮を「10年+α」停止する水準で歩み寄ったと伝えられているが、核心的な争点である高濃縮ウランの処理方法はまだ明確になっていない。とりわけ、イラン側が核心議題とみなすはずの米国による制裁解除など、経済的な補償策は具体化していない状況だ。
このため、イラン内部ではトランプ政権と性急に核合意を結ぶべきではないとの見方が優勢だとされる。Axiosによると、アラグチ外相は、米国の「核放棄」要求を巡ってイラン政府内で合意が形成されていない点を、仲介国であるパキスタン、エジプト、トルコ、カタールに重点的に説明したという。

もっとも、イランにとっても米国から最大限の経済的補償を引き出し、経済難を打開することは最優先課題となる。そのため、イスラム革命防衛隊(IRGC)などの強硬派が核交渉そのものを拒んでいるというより、交渉力を保ち、主導権を奪われないようにする駆け引きの一環との解釈も出ている。
すべてのカードを握る米国、トランプ政権は海上封鎖を維持か
イランがパキスタン、オマーン、ロシアを相手に全方位外交を展開したのとは対照的に、米国のトランプ政権はこの日、対イラン交渉について目立ったメッセージを出さなかった。
前日に起きたホワイトハウス記者協会(WHCA)晩餐会での銃撃事件の衝撃が残っていることも大きいが、米国がイランより優位な立場にあるためとの分析もある。
米国のドナルド・トランプ大統領はフォックスニュースのインタビューで、「大量の原油が流れるパイプラインが塞がれれば、機械的な要因で内部爆発が起きる」と述べ、イランのパイプラインが「3日以内」に爆発する可能性があると主張した。
そのうえで、「われわれはすべてのカードを握っている。彼ら(イラン)が対話を望むなら、こちらに来るか電話をかければいい。望むなら電話すればいい」と余裕を見せている。
さらに、イランの段階的交渉案に沿ってホルムズ海峡の封鎖状態を先に解消すれば、今後の核交渉を進めるうえで重要なてこを失うという問題も残る。
米国のバラク・オバマ元大統領の政権が締結した包括的共同行動計画(JCPOA)を強く批判してきたトランプ政権としては、「15年間、濃縮度3.67%以下」だったJCPOAより、確実に米国側に有利な核合意を引き出す必要がある。
加えて、JCPOAには含まれていなかったイランによる域内の「代理勢力」支援の停止、弾道ミサイル戦力の制限も盛り込むというのが、トランプ政権の基本方針だ。これを実現するには、イランの急所を押さえられる海上封鎖を維持する必要があると判断するとみられる。
当面、トランプ大統領は27日に外交・安全保障担当の側近らを招集し、イラン交渉の行き詰まりを点検したうえで、今後の対応策を協議する予定とされている。
ただ、イラン側の段階的交渉案が正式な議題に上るかは不透明だ。トランプ大統領はこの日、Axiosの報道に先立ち、「彼ら(イラン)は合意案に何が盛り込まれるべきかをよく分かっている。彼らに核兵器保有は認められず、それが前提でないなら会う理由もない」と改めて強調した。
















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