
16年ぶりに政権交代が実現したハンガリーで、次期保健相に内定した人物の即興ダンスが新政権発足の象徴として注目を集めている。
EPA通信によると、9日にハンガリーの首都ブダペスト国会議事堂前コシュート広場でマジャル・ペーテル新首相の就任式が執り行われた。先月の総選挙でマジャル首相率いる中道右派ティサ党がオルバーン・ヴィクトル前首相のフィデス政権を破り、16年ぶりの政権交代に成功した。ティサ党は議会199議席のうち141議席を獲得し、改憲に必要な3分の2を超える圧勝を収めた。
この日の式典で一際脚光を浴びたのは、次期保健相に内定した整形外科医のゾルト・ヘゲドゥス氏だ。英国国立保健サービス(NHS)で10年間勤務した経歴を持つ同氏は、数万人の市民が集まった舞台上で「エアギター」の動作と全身を揺らす即興ダンスを披露した。市民たちが歓声を上げながら一緒に踊り、マジャル首相も拍手を送って祝賀ムードを盛り上げた。
ヘゲドゥス氏のダンスは今回が初めてではない。先月の総選挙勝利直後にも演壇で手足を大きく振って踊り、SNS上で大きな話題を呼んだ。英紙ガーディアンのインタビューでは「あの後、人々が私をロックスターのように歓迎してくれるようになった」と語っている。
就任式で再び踊った理由について同氏は「音楽が流れると、市民たちがこの瞬間をどれだけ待ち望んでいたかを肌で感じた」と述べ「市民を失望させたくなかった」と明かした。
ガーディアンはヘゲドゥス氏のダンスを「ハンガリー政治の新時代を象徴するもの」と評した。実際にこの日、議事堂には欧州連合(EU)旗が再び掲げられ、ベートーヴェンの「歓喜の歌」が響き渡った。コシュート広場を埋め尽くした市民たちもハンガリー国旗とEU旗を共に掲げて喜びを表した。
同氏はこうした変化を実感していると語る。「人々はもはや通勤途中に、EUやウクライナへの憎悪を煽る官製宣伝ポスターを目にしなくても済む」と語り「精神的な健康を蝕んでいた視覚的汚染が消えた場所に、新鮮な空気が戻ってきた」と表現した。
ハンガリーはオルバーン前首相の長期政権下で、司法とメディアの掌握、選挙制度の改編、親ロシア的な外交姿勢などにより「非自由主義的民主主義」論争の中心となってきた。オルバーン氏自身も2014年に「非自由主義国家を建設する」と宣言したことがある。経済の悪化も今回の政権交代を後押しした要因の一つだ。マジャル首相は就任演説で「ハンガリーを支配しに来たのではなく、祖国に仕えに来た」と述べ「体制転換の扉をくぐろう」と呼びかけた。
今後ヘゲドゥス氏は、疲弊したハンガリーの医療体制を立て直すという重責を担う。「この注目度を国民の健康的な生活習慣と精神的健康の促進に役立てたい」と意欲を語り、ハンガリーの伝統的な集団舞踊文化「ターンツハーズ(táncház)」の復興にも意欲を見せた。「外に出て踊り、一緒に時間を過ごそう。電子機器を少し置いて、今この瞬間を楽しもう」と市民に呼びかけた。なお、ターンツハーズは1970年代に始まったハンガリーの伝統舞踊復興運動で、ユネスコ無形文化遺産の優良実践事例に登録されている。
















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