日本、東南アジアと海上交通路の防衛協力を強化…「中国けん制」

政府が東南アジア諸国と船舶監視情報を共有する体制を構築し、シーレーン(海上交通路)防衛協力を強化する方針であると、日本経済新聞が16日報じた。
同紙によると、政府は人工衛星などを活用した海洋状況把握(MDA)分野で、国内企業によるサービス導入も推進する方針であるとのことだ。関連協力国については、2030年代初頭までに8カ国へ拡大する計画としている。
政府と経済界が参加する「日本成長戦略会議」は、今夏策定予定の「官民投資ロードマップ」にこうした内容を盛り込む見通しだ。
また、政府は政府開発援助(ODA)や政府安全保障能力強化支援(OSA)を活用し、東南アジア各国への関連支援を進める方針だ。
今回の構想は、米国とイランの軍事衝突によってホルムズ海峡が事実上封鎖され、国内の資源確保リスクが浮上したことを背景に進められている。
政府は、中東情勢の不安定化を受け、原油輸送ルートの防衛能力を強化する必要があると判断している。
MDAサービスは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国内外の民間企業が運用する人工衛星情報を活用し、船舶の位置などをリアルタイムで提供するシステムだ。
IHIグループ傘下のIHIジェットサービスが関連事業を担っており、政府も民間サービスの情報を活用している。
これまでは、ODA(政府開発援助)やOSA(政府安全保障能力強化支援)を通じ、東南アジアや太平洋島しょ国などの友好国に巡視船や警備艇、監視用無人航空機(UAV)などを供与してきた。
2025年度にはインドネシアに警備艇を、マレーシアには潜水作業支援船を提供したほか、2024年度にはフィリピンにも巡視船を供与した。
政府は、こうした東南アジア諸国が今後、国内企業のMDAサービス導入候補になるとみている。
MDAシステムは、安全保障上懸念される国の船舶動向を把握するために活用できる。違法・無報告・無規制(IUU)漁業や、海上での瀬取りの監視にも効果が期待されている。
瀬取りは、船舶同士で貨物を移し替える手法で、北朝鮮が制裁逃れの手段の一つとして利用している。
政府は、AIS(船舶自動識別装置)の信号を切った船舶を含む海域状況の把握や、特定地域の高精度衛星画像の確保など、各国の要望を調査したうえでサービスに反映する計画だ。
また、こうした協力をシーレーン防衛強化にもつなげたい考えだ。
現在、防衛省や海上保安庁など政府機関の情報と、国内企業が提供するデータを統合した船舶監視システムを運用している。
さらに、政府は協力対象国が巡視船やレーダーなどを活用して独自に収集した情報を共有し、監視精度を高める方策についても検討している。
これを契機に、インド太平洋地域全体で広範な海洋情報共有体制を構築する構想だ。
中東のホルムズ海峡から東南アジアのマラッカ海峡、さらに台湾とフィリピンの間に位置するバシー海峡を経由する航路は、日本にとって原油輸入の重要ルートとなっている。このほかにも、ロンボク海峡やスンダ海峡といった主要な海上交通の要衝を通じて資源を輸入している。
高市早苗首相は2日、ベトナム訪問時の演説で、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の核心要素の一つとして「海洋安全保障」を挙げた。これは、南シナ海のほぼ全域を自国の内海と主張する中国をけん制したものとの見方が出ている。
政府は、年内に改定予定の国家安全保障戦略など安全保障関連3文書にも、シーレーン防衛強化を重要課題として盛り込む方針だ。
また、情報収集手段となる海洋無人機(ドローン)分野では、国内企業が2030年前後に世界シェア30%を確保できるよう、投資拡大を進める計画としている。
















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