
中国の習近平国家主席は8日午後、平壌の錦繍山(クムスサン)迎賓館で北朝鮮の金正恩総書記と会談し、「中国と北朝鮮の両国は地域にとどまらず、世界の平和と安定、発展と繁栄のために積極的に貢献すべきだ」と述べた。そのうえで、「双方の外交・法執行・軍事などの交流を強化しよう」と呼びかけた。習近平国家主席は「非核化」に言及せず、北朝鮮を国際的なパートナーと位置付け、戦略分野での協力強化を提案した形となる。米国やロシアとの首脳会談を相次いで行った習近平国家主席が、今年最初の外遊先として北朝鮮を選んだ背景には、米国を意識して北朝鮮に対する中国の影響力を再確認し、中朝ロによる反米連帯を誇示する狙いが強くにじむ。習近平国家主席の訪朝は2019年6月以来7年ぶりで、金正恩総書記体制下では2回目となる。
金正恩総書記はこの日の会談で、中朝関係を「国家の最も重要な第1戦略事業」と位置付けたうえで、「新時代の中朝友好を固め、発展させることは人民の選択であり、時代の要求だ。北朝鮮は今後も変わらず『一つの中国』原則を堅持し、中国が核心的利益を守るために取る政策と立場を確固として支持する」と表明した。
習近平国家主席、北朝鮮核問題の仲介を事実上棚上げ 北朝鮮と対米共同戦線へ
習近平国家主席は金正恩総書記との会談で、「今回の訪問を契機に、新時代の中朝関係に対する最高レベルの設計と戦略的指導を強化する」と述べた。今年が1961年の中朝友好協力相互援助条約締結65周年にあたる点を強調し、「両国関係を新たな高みへ引き上げたい」とも語った。金正恩総書記は、習近平国家主席が今年最初の外遊先として平壌を選んだことに触れ、「中朝関係に対する格別な重視と友好を示すもので、北朝鮮側にとって大きな鼓舞となる」と応じた。成均館大学のイ・ヒオク名誉教授は「今回の中朝首脳会談は、双方が中朝関係を今より一段階高度化させる意思を明確に示した場だ」とし、「これまで中朝関係が事案別・選択的な協力にとどまっていたとすれば、今回の会談を機に、より全面的な協力へ進むモメンタムが生まれた」と評価している。
朝鮮半島に触れず「それぞれの主権を守る」
金正恩総書記は今回の歓待を通じ、核能力高度化に対する中国の事実上の黙認と、観光・貿易拡大などによる経済的利益を得たとみられる。新華社通信が公開した習近平国家主席の会談発言文には、非核化問題を指す「朝鮮半島問題」への言及はなく、「中国と北朝鮮の両国は戦略的調整と協力を強化し、それぞれの主権・安全保障・発展利益をしっかり守る」との内容が盛り込まれた。2019年の平壌首脳会談当時、中国側が公開した資料では、習近平国家主席が朝鮮半島に9回言及していた。
先月の米中首脳会談後、米国側が公開した資料では、両国が北朝鮮の非核化という共同目標を再確認したと明らかにしていた。一方、中国は最近、ロシアとの首脳会談共同声明で非核化問題に触れなかった。
これに先立ち、この日の労働新聞が1面に掲載した習近平国家主席の寄稿文にも、「朝鮮半島」は一度も登場しなかった。7年前の2019年6月に訪朝した際の労働新聞寄稿文には、「朝鮮半島問題の政治的解決支持」など、北朝鮮の核問題を巡る米朝対話を示唆する表現があったのとは対照的だ。習近平国家主席は代わりに、「覇権主義と強権政治に反対」すべきだとし、「平等で秩序ある世界の多極化と、あまねく恩恵が及ぶ包摂的な経済グローバル化を共同で推進すべきだ」と強調した。中国が米朝間の非核化交渉を一定程度仲介しようとしていた立場から、今では北朝鮮とともに対米共同戦線を形成する立場へ変化したとの見方が出ている。統一研究院のホン・ミン上級研究委員は「中国が北朝鮮を国際情勢の変化の中でともに動ける戦略的パートナーとして再定義しようとするメッセージだ」と分析している。
「科学技術と貿易協力を拡大」
習近平国家主席はまた、「発展戦略の連携を強化し、貿易・農業・建設・科学技術・保健医療など実質的な協力を拡大し、両国人民により大きな利益をもたらすことを望む」と述べた。さらに、「国境通関地の全面的な再開と民間航空便、国際旅客列車の運行再開を契機に人的交流を拡大し、双方向交流を実現すべきだ」と訴えた。
北朝鮮は、金正恩総書記が重視する地方発展政策と観光業の推進に向け、中国人観光客と物資を必要としている。一方、中国は豆満江下流の水路を利用した日本海への進出権を確保し、東北三省の経済活性化と朝鮮半島への影響力拡大を図りたい状況にある。
習近平国家主席は「血で結ばれた伝統的友好は両国人民共通の貴重な財産だ」とも述べ、北朝鮮内にある中国軍烈士記念施設の維持・管理や、革命伝統教育、青少年思想教育を共同で進め、伝統的友好を継承したい考えを示した。金正恩総書記は「中朝両国関係の特殊性は、単に隣国であることにあるのではなく、深い伝統的友好と共同の理想・信念を共有し、それを世代を超えて受け継いでいることにある」と応じている。
「中国と北朝鮮が地域の平和を守るべき」
習近平国家主席は中朝関係発展に向けた提案として、人類運命共同体構想と4大グローバルイニシアティブに言及した。これらの構想と計画は、反西側の国際秩序を構築するために中国が提示したものと評価されている。金正恩総書記はこれについて、「世界の平和と発展を促進するうえで深い意味を持ち、世界の人民の支持と称賛を受けている」と述べた。米国との首脳会談で「対等な大国関係」を強調した中国が、ロシアに続いて北朝鮮を取り込み、反米・反日戦線を強化したとの分析が出た。
習近平国家主席は労働新聞への寄稿で、「党・政府・軍の間で、各部門・各レベルの意思疎通と交流・往来を強化し、中朝関係発展に強力な原動力を注入する」と表明した。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「軍同士の交流を公式化したものだ」とし、「水面下にあった軍事協力が公式議題に格上げされる可能性がある」と指摘した。亜洲大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長は「中国は北朝鮮との軍事分野はもちろん、あらゆる領域での意思疎通と交流の強化を提案した」とし、「最高レベルの二国間関係として重視する意思を示した」と強調した。
















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