
ロシアでは、ウクライナ侵攻の長期化と経済低迷が重なるなか、ウラジーミル・プーチン大統領の信頼度が低下したことを受け、国営世論調査機関が同大統領に不利となる調査結果の公表を取りやめたと伝えられている。
11日、海外メディアなどによると、ロシアの反体制・リベラル系メディアモスクワ・タイムズ(MT)は8日(現地時間)、ロシア国営世論調査機関全ロシア世論調査センター(VCIOM)が、プーチン大統領に対する「自由回答式」の信頼度が戦争開始以降で最低水準に落ち込んだことを受け、その公表を中止したと報じた。
VCIOMが定期的に発表している世論調査のうち、「選択式(クローズド型)」の質問では、回答者に対してプーチン大統領を信頼するかどうかを直接尋ねる方式が採用されている。
一方、「自由回答式(オープン型)」では、選択肢を提示せず、「信頼する政治家の名前を挙げてほしい」と回答者に求める形式で、事実上の記述式アンケートとなっている。
この自由回答式で算出されたプーチン大統領の信頼度は、3月調査で29.5%まで低下し、ウクライナ戦争開始以降で最低を記録した。
VCIOMのウェブサイトでは、4月5日に公表された3月分を最後に、本来月末に公表される予定だった4月分と5月分の結果は掲載されていない。

引用:VCIOM
一方、同時に実施された選択式調査では、プーチン大統領の信頼度は4月上旬に73.8%、5月末には72.3%と、いずれも7割を超える水準を維持している。
また、VCIOMが併せて実施しているプーチン大統領の政権支持率は、5月31日時点で66.6%となり、年初と比べて約10ポイント低下した。最低水準は4月19日に記録した65.6%だった。
MTは、「世論調査の方法が電話インタビューから戸別訪問方式へ変更されたにもかかわらず、政権支持率は2週連続で低下した」と指摘した。
さらに、「支持率の下落幅は4カ月で約10ポイントに達し、年金改革以降では記録的な水準となった」と分析した。
同紙はまた、「勝利することも終結させることもできない」戦争の5年目に突入したプーチン大統領が、政権発足以来前例のない「複合的な課題」に直面している状況だとして、フランス国際関係研究所(IFRI)ロシア・ユーラシアセンターのタチアナ・カチュエワ=ジャン所長の見解を紹介した。
さらに、経済見通しは一段と厳しさを増しており、物価上昇やインターネット規制への国民の不安も広がっていると指摘した。
政治学者のイリヤ・グラシェンコフ氏は、「経済的負担、さまざまな制限、終わりの見えない不確実性に対する全般的な感覚が、一つの感情へと集約されつつある」と述べた。
そのうえで、「『このまま生きていくことはできる。しかし、ますます生きていたくなくなっている』という感情だ」と分析したと同紙は伝えている。
ロシアの別の世論調査機関FOMの調査によると、「不安を感じている」と回答した人の割合が、数年ぶりに過半数に達したこともグラシェンコフ氏は指摘した。
一方で、プーチン大統領の支持率が低下するなかでも、ロシア政府およびミハイル・ミシュスチン首相の支持率は、それぞれ41.1%、44.9%まで上昇した。
これについて同氏は、「社会全体が現在の雰囲気に疲弊しているとしても、その不満が自動的に内閣へ向かうわけではない」と評価した。
なお、MTによるこうした分析は、ウクライナの現地メディアやフランス紙ル・パリジャンなどによっても引用・報道されている。














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