
カナダが次世代潜水艦事業で、ドイツのティッセンクルップマリンシステムズ(TKMS)を選択した背景に注目が集まっている。
海外メディアは今回の決定は単なる性能競争の結果ではなく、米国への依存を減らし、欧州との安全保障協力を強化しようとするカナダの戦略的判断が反映されたものだと分析している。
6日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)やガーディアンなどによると、カナダは海軍の次世代潜水艦事業の優先交渉権者として、ドイツのTKMSとノルウェー政府が共同提案した「212CD潜水艦」を選定した。韓国のハンファオーシャンも最終候補として競争したが、受注には至らなかった。
今回の事業は潜水艦12隻の建造に加え、今後数十年にわたる包括的な後方支援およびライフサイクル整備(MRO)まで含めると、総事業費が約6兆4,000億円に達する超大型国防調達事業だ。
海外メディアは、今回の結果を韓国製潜水艦の競争力不足と見るのではなく、カナダが進める安全保障戦略と防衛調達方針の変化が決定的な影響を与えたと分析している。
最大の要因として挙げられているのは、外交・安全保障戦略だ。
カナダのマーク・カーニー首相は、米国製兵器への依存を減らし、欧州の同盟国との安全保障協力を拡大する方針を一貫して掲げている。今回の発表もNATO首脳会議を前に行われ、選定されたドイツとノルウェーはいずれもカナダの主要なNATO同盟国である。
カナダ・オタワのカールトン大学で軍事調達を専門とするフィリップ・ラガッセ教授は、NYTに対し、「ドイツやノルウェーとの軍事関係がまったく影響していなかったと考えるのは単純すぎる」と評価した。
海外メディアは、今回の契約が潜水艦導入にとどまらず、防衛産業のサプライチェーンを米国中心から欧州中心へ多様化しようとするカナダの戦略の延長線上にあると分析している。実際、カナダは最近、米国製戦闘機への依存を見直す一方で、欧州製防衛装備の導入拡大も検討している。
潜水艦をどれだけ早く引き渡せるかも重要な要素だった。
カナダ海軍は現在、英国から中古で導入したヴィクトリア級潜水艦4隻を保有しているが、そのうち3隻は整備中で、実際に作戦遂行が可能なのは1隻のみという状況だ。
カナダ太平洋艦隊のデービッド・パチェル司令官は今年5月、新型潜水艦がいつ必要かとの質問に対し、「昨日にでも必要だった」と答えるほど、戦力の空白に強い危機感を示していた。
カーニー首相は、ドイツとノルウェーが自国海軍向けに配備予定だった潜水艦の一部をカナダへ優先的に引き渡すことで合意し、納入時期を前倒しすることになったと明らかにした。早急な戦力増強を必要とするカナダにとって、大きな利点になったとみられる。
NATOのサプライチェーンや共同運用体制もドイツ側の強みとして挙げられている。
212CD潜水艦はまだ実戦配備されていないものの、ドイツとノルウェーが同一プラットフォームを共同運用する予定だ。カナダが導入すれば、訓練、整備、部品調達、性能向上などを同盟国と共同で進められるほか、北極海域での共同作戦能力も高められる。
ガーディアンは、TKMSが単に潜水艦を提案しただけでなく、レアアースや鉱業、人工知能(AI)、電気自動車(EV)用バッテリー産業まで含めた産業協力パッケージを提示したと伝えた。ドイツ政府も、NATOとの安全保障協力拡大を継続的に強調し、受注競争を後押しした。
一方で、ハンファオーシャンの競争力が高く評価されていたことも、カナダ政府が繰り返し強調している点だ。
カナダ政府は、両社とも軍の要求条件を満たしており、それぞれに長所と短所があったと評価した。
ハンファオーシャンは、韓国海軍とインドネシア海軍への潜水艦納入実績を前面に打ち出し、カナダ市場攻略に力を注いだ。現地では大規模な広告キャンペーンを展開したほか、カナダ産鉄鋼を活用した装甲車生産など、産業協力案も提示した。
ガーディアンは、ハンファオーシャンのKSS-Ⅲ BatchⅡ潜水艦は212CDより大型で、長距離作戦能力や兵器搭載能力に優れていると紹介した。業界でも、ハンファオーシャンの潜水艦は深海での長期哨戒能力や火力運用能力に競争力があるとの評価が出ている。
しかし、カナダが今回の事業で重視したのは、大型の兵器プラットフォームではなく、北極海域で長期間にわたり秘匿性の高い監視任務を遂行できる能力だったと分析されている。212CDは、非大気依存推進(AIP)システムと高いステルス性能を備え、探知される可能性を最小限に抑えながら長時間の作戦を遂行できるよう設計されている。
カーニー首相は「韓国が失望していることは理解している」とし、「入札は非常に競争が激しく、難しい決断だった」と述べた。また、ドイツ側との最終契約交渉が決裂した場合には、ハンファオーシャンと交渉する可能性も残されているとした。
海外メディアは、今回の事業は潜水艦の性能だけを比較した結果というよりも、カナダの国家戦略が反映された決定だったと総括している。
すなわち、米国への依存を減らし、欧州同盟国との協力を強化すると同時に、北極圏における安全保障能力を迅速に確保しようとする政策方針がドイツ・ノルウェー連合に軍配を上げたという見方だ。
さらに今回の決定は、今後のカナダの大型防衛調達事業でも、欧州企業が一段と有利な立場を占める可能性を示唆しているとの分析も出ている。














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