
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は6日(現地時間)、日本最大の防衛関連企業である三菱重工業(MHI)が、余剰となった自動車工場を軍用ドローンの生産拠点へ転用する構想について、「税金の莫大な無駄遣い」につながる可能性があると警鐘を鳴らしたと報じた。
三菱重工業の伊藤栄作最高経営責任者(CEO)は、同日掲載されたFTのインタビューで、欧州の自動車メーカーが稼働率の低い工場や閉鎖の危機に直面する工場をドローンやミサイル部品の生産施設へ転換する構想を進めていることについて、「防衛分野を正しく理解していない人の発言のように感じる」と述べた。
伊藤CEOは、「防衛分野の製品は戦況に応じて仕様が絶えず変化する。一方、自動車工場は同じ製品を数万台、数百万台単位で生産するよう設計されている。自動車と同じ生産方式を軍用ドローンに転用するのは極めて危険な発想だ」と指摘した。
さらに、自動車と同じ方式で軍用ドローンを大量生産すれば、実戦では通用しない、あるいはすでに陳腐化した製品を大量に生産してしまう危険性があるとし、「そうなれば税金の莫大な無駄遣いに終わるだろう」と述べた。
FTによると、フランスのルノーは政府の支援を受け、航空企業テュルジ・ガイヤール、防衛企業タレスと連携し、遊休工場を活用したドローン生産に乗り出している。また、フォルクスワーゲンはイスラエルの「アイアンドーム」防空システムの製造企業との協業を協議しており、メルセデス・ベンツもタイタン・テクノロジーズとドローン製造を進めている。
こうした中、日本の防衛省も今年、無人機関連予算を前年の約3倍となる2,770億円に増額しており、海外企業や日本のスタートアップ企業が関連市場への参入を急いでいる。
FTは、「日本は、ロシアの侵攻に対抗するため低価格のドローンを大規模に活用したウクライナの事例を参考に、中国などの潜在的な敵国に対する非対称的優位性の確保を目指している」としたうえで、「中核となるのは、台湾に近い南西諸島を防衛するため、数千機のドローンを配備する沿岸防衛計画『SHIELD』だ」と伝えた。
これについて伊藤CEOは、三菱重工業のドローン事業も「大幅な成長」が見込まれると述べた。同社は少量多品種生産を得意としていることから、日本の中核となるドローン供給企業になれるとの自信を示した。
また、日本の防衛省はデータセキュリティー上の懸念から、一部のドローンについては海外企業に依存せず、日本国内で開発・生産したいと考えているとの見方を示した。
伊藤CEOは、三菱重工業には海上・陸上・航空分野の軍事装備を一貫して手掛けられる能力があるとしたうえで、「日本でこうした事業を一貫して手掛けられる企業は我々だけだ」と強調した。
三菱重工業は最近、衛星、指揮統制システム、潜水艦分野で培った技術を活用し、敵の無人機を撃墜する迎撃ドローンの試作機を3カ月で開発した。
FTは、「日本の防衛費拡大とAI関連のガスタービン需要の増加を追い風に、三菱重工業も好調が続いている」としたうえで、「伊藤CEOの就任から15カ月間で同社の株価は約50%上昇し、受注残高は15兆円を超える見通しだ」と伝えた。













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