仮想通貨(暗号資産)市場が全体的に調整局面に入っている。
専門家は、一部の好材料よりも投資家心理やテクニカル指標に市場が敏感に反応していると分析している。

ニュースメディア「BeInCrypto」などによると、15日の暗号資産市場の時価総額は、前日から約50億ドル(約7,265億5,284万円)以上減少し、3兆2,900億ドル(約477兆9,810億5,000万円)まで下落した。現在3兆2,800億ドル(約476兆3,895億2,000万円)が短期的なサポートラインとして機能しているが、これを下回る場合、さらなる下落リスクも指摘されている。
ビットコイン(BTC)は依然としてボックス圏から抜け出せない状態が続いている。同日午後4時時点では10万2,000ドル(約1,481万3,959円)台付近で取引されており、短期的なレジスタンスラインである10万5,000ドル(約1,524万7,585円)の突破には至っていない。この水準は、4月以降の上昇トレンドの持続性を判断する重要なポイントとされている。
一方で、10万2,734ドル(約1,491万7,578円)のサポートラインを割り込めば、10万ドル(約1,451万9,950円)まで下落する可能性があるとの見方もある。市場全体としてはボラティリティ(価格変動性)が低下し、明確な方向性が見出せない状況が続いている。
こうした中で、パイネットワーク(Pi Network)が発行する「パイコイン(PI)」は1日で31%急落し、1ドル(約145円)を下回る水準へと下落。同時刻に0.87ドル(約126円)付近で取引されており、この日時点で主要暗号資産の中で最も最悪のパフォーマンスを記録している。
パイコインの次のサポートラインは0.78ドル(約113円)とみられており、これを維持できなければ0.71ドル(約103円)まで下落する可能性が予想されている。
市場全体では短期的な調整局面にあるとの見方が強まっており、時価総額が3兆1,600億ドル(約458兆8,106億7,000万円)まで下落した場合、直近の上昇幅がほぼ帳消しになる可能性もある。この場合、長期的な調整あるいは横ばい相場への移行を示唆している可能性がある。
特に、ビットコインが主要なサポート・レジスタンス水準の間で方向感を欠く中、アルトコイン(ビットコイン以外の通貨)の価格変動性はさらに高まる可能性がある。
こうした市況は、市場にとってはプラス材料とされるいくつかの発表とも対照的だ。その代表例として、ステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行するTether社は、第3四半期のリリースを目指す分散型AIエージェント開発プラットフォーム「QVAC」を公開。これは、個人端末をベースにしたモジュール型AIツールの開発に特化した新たな構想であり、正式リリースに先立ち一部アプリケーションの先行公開も予定されている。
それでも、市場は依然として短期的な好材料よりも、投資家心理やテクニカル要因に敏感に反応している状況である。今回のパイコインの急落も、独自ネットワークの拡張やエコシステムの活用度とは無関係に、全体的な調整局面の中で投資家の売り姿勢が強まった結果と分析されている。