
米中貿易摩擦の再燃を受け、日本国内の仮想通貨市場でドル建てステーブルコインが急騰した。代表的なドルステーブルコインである「テザー(USDT)」は、為替相場を大きく上回る水準で取引され、一部では通常価格の数倍に跳ね上がる場面もあった。
2025年10月14日、主要取引所ではテザー1枚が一時およそ160円前後で取引され、同日のドル円相場(約152円)を5%以上上回った。テザーは10月10日、ドナルド・トランプ米大統領の突発的発言をきっかけに米中貿易摩擦への懸念が高まり、日中で177円近くまで急騰。その後も3日連続で160円を上回った。
テザーがこの水準をつけるのは、2024年5月の国内上場以来初めてとみられる。また、他のドルステーブルコイン「USDコイン(USDC)」も同日に176円前後まで上昇し、前日比で急伸した。
通常、ステーブルコインの価格は為替レートにほぼ連動するが、今回は国内外の市場乖離が要因とみられる。海外市場の仮想通貨価格が急落したことで日本市場との価格差が拡大し、いわゆる「プレミアム現象」が発生したとの見方が強い。
市場関係者は「海外取引所で先物ポジションを持つ投資家のマージンコール(追証)対応によるテザー需要の急増も影響した可能性がある」と指摘する。
一方、一部のステーブルコインでは瞬間的な異常値も確認された。10日夜、あるドルステーブルコインは一時約1,000円まで急騰し、前日の終値の6倍超となった。翌朝には他の取引所でもテザーが600円を超える場面があった。
「売り注文が減る一方で、買い需要が殺到している」と業界関係者は語る。
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