
欧州連合(EU)が「ロシア連邦中央銀行」の保有資産を凍結したことへの対抗措置として、ロシア側が、資産の大部分を管理する決済機関「ユーロクリア」を相手取り、国内で訴訟を提起した。
Newsisによると、米政治メディア「POLITICO」の欧州版は12日、「ロシア連邦中央銀行」が同日、ブリュッセルに本社を置く「ユーロクリア」を相手取り、モスクワで提訴したと報じている。
「ユーロクリア」は、EUがウクライナ支援の資金として活用を検討している凍結ロシア資産の大半を保有している。「POLITICO」によれば、凍結されたロシア資産約2100億ユーロ(約38兆3,500億円)のうち、約1850億ユーロ(約33兆7,845億円)は金融預託機関である「ユーロクリア」の管理下にあり、残る約250億ユーロ(約4兆5,649億円)はEU域内の銀行口座に分散されている。
これに先立つ11日、EU加盟国の大使らは、EU条約第122条を根拠にロシア資産の凍結を決定した。同条項は、経済的な非常事態において、欧州議会の承認を経ずに特別多数決で措置を実施できると定めている。
今回の措置は、ウクライナの戦後復興を巡る賠償問題に関連し、米国など域外勢力によるロシア資産活用の動きをけん制する狙いがあるとみられている。
EUは、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州経済に深刻な打撃を与え、サプライチェーンの混乱や投資の停滞を招いたとして、ロシア資産の返還を阻止することが経済安定の観点から急務であると説明している。
「POLITICO」は、今回の決定により、ハンガリーやスロバキアなど親ロシア的とされる国々が、凍結資金をロシアに返還する可能性が大きく低下すると伝えている。
「ロシア連邦中央銀行」は声明で、「ユーロクリア」という預託機関の違法行為によって損失を被っていると主張した。
さらにロシア側は、「欧州委員会」が「ロシア連邦中央銀行」の同意なしに資産を直接または間接的に活用する方策を公式に検討していることを踏まえ、損失回復を目的に、モスクワ仲裁裁判所へ「ユーロクリア」の預託機関を相手取った訴訟を提起すると発表した。
「ユーロクリア」が拠点を置くベルギーは、ロシア資産の使用に反対している。将来的に、当該資金をロシアへ返還する義務が生じる可能性を懸念しているためである。
ロシアの裁判所には、ベルギーに保管されている「ユーロクリア」のユーロ建てやドル建て資産の返還を強制する権限は、ほとんどないとされている。
一方で、ロシアの金融機関に預けられている「ユーロクリア」の残高については、報復措置を講じる権限を持つとみられている。
「POLITICO」によると、「欧州委員会」は2024年、西側諸国が対ロ制裁に参加したことでロシア国内で発生した「ユーロクリア」の損失を補償するための法的枠組みを整備した。このため、「ユーロクリア」がロシア側の訴訟によって資産凍結などの損失を被った場合でも、その影響を相殺できると伝えている。















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