
ロシア産天然ガスを欧州へ送る海底ガス管「ノルドストリーム」の運営会社が、欧州連合(EU)に科された制裁の解除を求め、EUを相手取って訴訟を起こした。ウクライナ戦争のさなかに爆破されたノルドストリームは、終戦後の米ロ経済協力の対象として繰り返し取り沙汰されてきた経緯がある。
独経済紙ハンデルスブラットによると、4本あるガス管のうち2本を保有するノルドストリーム2AGは昨年10月、EUを提訴した。EUが同月に、ガス管の使用や維持・保守を含む関連取引を全面的に禁じた制裁措置について、撤回を求めている。
同社は、EUの制裁が企業活動の自由や財産権を侵害していると主張している。ノルドストリーム2はスイスに本社を置き、ロシア国営エネルギー企業ガスプロムが株式の100%を保有している。
ノルドストリームは、ロシアからドイツ北部ルブミンへつながる全長約1,230キロのガス管4本を指す。2011年に2本が開通し、2021年にはノルドストリーム2側の2本が完成したものの、翌2022年2月にウクライナ戦争が始まると、ドイツ政府が運営許可を出さず稼働は実現しなかった。2022年9月には、ウクライナ国籍の潜水士による工作で4本のうち3本が爆破されたとされ、損傷が比較的小さい1本はノルドストリーム2側の保有分だという。
ノルドストリームの復活策は、昨年1月にトランプ大統領が就任して以降、水面下で議論が進んでいるとされる。米企業が関与し、ロシア産天然ガスを欧州へ再び輸出する構想が取り沙汰されている。これに先立つ2024年には、米実業家スティーブン・リンチ氏がノルドストリーム2の買収に意欲を示しているとの報道も出ていた。
ノルドストリーム2は破産の危機に追い込まれたが、昨年1月に裁判所が猶予を認めたことで延命した。当時、スイスのツーク州裁判所が「複雑な地政学的状況」を理由に挙げたため、終戦交渉を見据えた判断ではないかとの観測が広がった。
また、トランプ大統領が昨年11月に提案した「28項目の終戦案」には、エネルギーや天然資源などの分野で米ロが長期の経済協力協定を結ぶ内容が含まれている。一方、ロシア産エネルギーへの依存を大幅に減らしたドイツは、終戦の有無に関わらずノルドストリームの再稼働に否定的な姿勢を崩していない。
民間団体ドイツ環境支援(DHU)のサシャ・ミュラークレーナー事務総長は、EU制裁の効力をもはや信頼できないとして、ノルドストリームを恒久的に運用できないよう、ドイツ首相が直接措置を講じるべきだとの考えを示している。
















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