
デンマーク軍当局は16日(現地時間)、中国およびロシアの軍艦がデンマーク自治領グリーンランド周辺海域で活動しているとする米国側の主張に対し、「現時点で同海域に中露の軍艦は確認されていない」との見解を示した。
「AFP通信」や「AP通信」などの報道によると、デンマーク統合北極司令部のソーレン・アンデルセン司令官は同日の記者会見で、「中国とロシアの艦艇は北極海全体では観測されているが、グリーンランド周辺海域では確認されていない」と述べた。アンデルセン司令官は、ロシアの調査船1隻がグリーンランドから約310海里離れた海域に位置していると説明し、「現状ではその程度にとどまっている」と語っている。
トランプ大統領は、ロシアや中国の艦船がグリーンランド周辺の各海域に存在していると主張し、米国の国家安全保障の観点からグリーンランドを確保すべきだとの考えを繰り返し表明している。これに対し、アンデルセン司令官は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国同士が衝突するというのは仮定の話にすぎない」と述べ、「私の焦点は米国ではなくロシアに向けられている」と強調した。
また、デンマーク軍の防衛計画については、「NATOと連携し、王国を防衛するために通常行っている任務である」と説明し、NATO加盟国が別の加盟国を攻撃する可能性はないとの認識を示した。今年グリーンランドで予定されているNATOの軍事演習「アークティック・エンデュランス(ArcticEndurance)」については、米国を含む加盟国と協議が進められており、米国にも正式に参加を要請した。ただし、現時点では米国側から最終的な回答は得られていないという。
デンマーク統合北極司令部は、グリーンランドおよびフェロー諸島周辺の防衛を担い、巡視船や航空機、衛星監視システムなどを用いて監視・捜索・救難任務を遂行している。また、長距離の北極作戦を担う「シリウス犬ぞり巡視隊(SiriusDogSledPatrol)」も運用中である。アンデルセン司令官は「今後数年間でロシアの活動が活発化すると予想される」と述べ、「NATO北部国境を守るため、北極圏での訓練強化と部隊展開の拡充が必要だ」と訴えている。
こうした安全保障上の懸念を受け、デンマーク政府は2022年、北極防衛強化のため約420億デンマーク・クローネ(約9,450億円)規模の防衛パッケージを策定した。さらにアンデルセン司令官は、米軍との協力も継続しているとし、最近では米北方軍(NORTHCOM)司令官やアラスカ司令部の指揮官と会談したほか、グリーンランドにある米軍のピトゥフィク(Pituffik)基地でも協議を行ったと明らかにした。
一方で、デンマーク側は中国とロシアが北極海全体で協力関係を強めている点には警戒を示している。アンデルセン司令官は「中露が北極海で連携している様子は明確に観測されており、次第に『ニュー・ノーマル(新たな常態)』になりつつある」と指摘した。ただし、自身が司令官として在任している過去2年半の間、グリーンランド周辺海域で中露の戦闘艦を直接目撃したことは一度もないと補足している。
これに先立ち、デンマークのラース・リュッケ・ラスムセン外相も15日、「グリーンランド沿岸に中国の軍艦は存在せず、大規模な中国資本による投資も確認されていない」と述べた。ラスムセン外相はワシントンでトランプ政権関係者と会談した後、「トランプ大統領は中露がグリーンランドを支配しようとしていると主張しているが、実際には中国の軍艦は存在せず、大規模な中国投資も見当たらない」と説明している。
デンマーク軍および政府高官による一連の発言は、北極圏を巡る戦略的競争が激化する中で、グリーンランド周辺の安全保障状況について事実関係を明確にする狙いがあると受け止められている。













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