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「100%関税か米国生産か」メモリー半導体を戦略物資にした米国の強硬圧力

望月博樹 アクセス  

引用:ニューシス
引用:ニューシス

「メモリーを生産する企業には二つの選択肢がある。関税を100%支払うか、米国で生産するかだ」

人工知能(AI)時代の「戦略物資」として存在感を強めるメモリー半導体を巡り、米国が各国企業に投資を迫る動きが強まっている。トランプ政権は、台湾の半導体大手TSMCが米国内にメモリー工場を建設すると約束したことを関税交渉の成果として公表した。さらに、韓国の半導体企業を念頭に「100%関税」というカードを突きつけ、自国でのメモリー工場建設を強く求めている構えだ。米政府が先端メモリー製造の遅れの負担を韓国側に押し付けようとしている、との見方も浮上している。

19日、市場調査会社カウンターポイント・リサーチのデータによると、メモリー半導体市場のシェア(2025年第3四半期時点)は、サムスン電子とSKハイニックスが合計で67%を占めている。これに対し、米マイクロン・テクノロジーは26%にとどまる。また、AIアクセラレーターの中核部品である高帯域幅メモリー(HBM)の市場シェアでは、SKハイニックスが57%、サムスン電子が22%、マイクロンが21%となっている。

米国は事実上、メモリーの「生産ゼロ」の国である。マイクロンは台湾で主力のDRAMと一部のHBMを生産しており、広島などではHBM関連の先端工程を開発している。シンガポールでは、300ミリウエハーのNAND型フラッシュメモリー工場3カ所が、主力生産拠点の役割を担っている。マイクロンが現在、米国内でメモリー半導体を生産している施設はバージニア州のマナサス工場のみとされる。同社は「世界のメモリーチップのうち約2%だけが米国で生産されており、これらすべてのチップはマイクロンのマナサス工場で生産されている」と述べている。これは、米国が戦略物資であるメモリー半導体の自前調達に苦戦してきた実態を如実に示している。

マイクロンは米国内の生産拡大に乗り出しているものの、実際に軌道に乗るかは不透明である。2025年6月には、マナサス工場の拡張・近代化に加え、アイダホ州ボイシーに最先端メモリー製造工場を建設すると発表した。ニューヨーク州にも大規模工場を建設する計画を公表している。さらに、「米国内のメモリー製造施設に約1,500億ドル(約23兆5,650億円)、研究開発(R&D)に500億ドル(約7兆8,550億円)を投資する計画である」とし、9万人規模の雇用を創出する方針を示した。同社は、ボイシー工場で2027年からDRAMの生産を開始する計画を立てている。

マイクロンが最近になって米国内生産の拡大に動き出したのは、これまで米国内で生産するメリットが乏しいと判断していたためであるとの見方がある。近年はAI高度化競争を背景にメモリーチップ価格が急騰したものの、それ以前は市場の価格変動が大きく、利益率も高くはなかった。そのため、人件費やインフラ費用が高い米国にウエハー工程の工場を新設しても、採算が合わないという認識が業界に根付いていた。また、バイデン前政権が「CHIPS法」で巨額の補助金支援を打ち出したものの、収益の共有や中国投資の制限などが条件となったため、米国への投資の魅力は限定的であったとの評価も存在する。

韓国の半導体企業にとっても、国内で構築したサプライチェーンを離れ、米国に生産ラインを新設し追加投資することは極めて大きな負担である。サムスン電子とSKハイニックスは、韓国の京畿道南部圏に大規模な半導体生産クラスターを構築し、原価競争力などで優位性を維持してきた。

韓国企業に米国への追加投資を行う余力が十分にあるわけでもない。サムスン電子は360兆ウォン(約38兆5,500億円)を投じ、京畿道龍仁市で先端システム半導体の国家産業団地事業を進める予定であり、同地には生産設備6基が建設される。SKハイニックスも、近隣の龍仁半導体クラスターに600兆ウォン(約64兆2,500億円)を投資する。韓国が米国の圧力に屈して米国での新規・追加投資に踏み切れば、国内生産ラインで築いてきた「規模の経済」を失うだけでなく、メモリー技術の覇権そのものを米国に奪われかねないとの懸念も示されている。

残り3年となったトランプ大統領の任期中に、米国内でメモリー半導体の新たな生産拠点を確保するのは現実的に困難であるとの見方が出ている。半導体業界の関係者は「半導体設備は10年以上先を見据えて構築する代表的な装置産業である。中核工程や装置、人材をどれだけ集中させるかが技術覇権を左右する以上、国家の中核戦略産業を移転させることは容易ではない」と語っている。トランプ政権の強硬な半導体政策は、11月の中間選挙を控え、「リショアリング(製造業の国内回帰)」政策を強調することで支持層を結集するための手段に過ぎないとの見方も強まっている。

望月博樹
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