『Nature』は科学的知見を無視と批判 『Science』は監視網の限界と軍拡リスクを指摘

主要な核保有国で核実験再開に向けた動きが相次ぐ中、国際科学界から警告が上がっている。国際学術誌の『Nature』と『Science』は24日(現地時間)、核実験再開の科学的リスクと国際監視体制の限界をそれぞれ取り上げ、各国に自制を求めた。
『Nature』は社説で、核実験再開を検討すること自体が、数十年にわたり積み上げられてきた科学的知識を無視する行為だと批判した。大気圏内核実験の降下物が遠方まで拡散し、放射性核種が土壌中に数千年規模で残り得るとの研究結果を根拠として示している。さらに1990年代以降、実際の物理的核実験はコンピューター・シミュレーションで十分に代替できるという合意が科学界で形成されてきた点も強調した。
『Science』も同日、米国が中国の「秘密核実験」の疑いを提起したことを受け、核実験監視の技術的な限界と、新たな軍備競争が生じる危険性を詳報した。国際監視制度(IMS)は、地震、水中音響、超低周波、放射性核種の観測所など、世界300か所以上の観測点で構成される核実験監視ネットワークとされる。
今月5日には、米露間で最後の核軍縮合意とされてきた新戦略兵器削減条約(新START)が期限を迎え、主要核保有国間の軍備管理の枠組みが事実上崩れた。ロシアと米国で核実験再開や再開指示の動きが報じられる中、米国が中国の秘密核実験疑惑まで公式に取り上げたことで緊張が高まっている。
米国が根拠として示したのは地震波データだ。米国務省で軍縮・国際安全保障を担当するトーマス・ディナノ次官は6日、ジュネーブ軍縮会議で、中国が2020年に核実験を実施したと主張した。2020年6月22日、カザフスタン東部のIMS地震観測所が、中国のロプノール核実験場近くで12秒間隔の小規模地震を2回検知したというデータを挙げた。
米側は、地下核爆発後に空洞が崩壊する際に現れ得る「二重の地震波パターン」に似ていると説明している。一方、中国側は根拠のない主張だとして反発した。
ただ、科学界からは、地震波だけで核実験の有無を断定するのは難しいとの指摘も出ている。包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)のロバート・フロイド事務局長は、IMSが自然地震と区別できるのはTNT換算で約500トン以上の爆発に限られるとの見解を示した。ニューサウスウェールズ大学出身の独立核分析家、クリストファー・ライト氏も『Science』の取材に対し、現時点で公開されている地震信号には爆発特有の特徴が見られないと述べた。
これに対し米国は、中国が「デカップリング」技法で地震波を抑えた可能性があると主張している。地下空洞や格納容器内で爆発させ、地震波の伝播を弱める手法だとされる。ライト氏は、同様の信号は数トン規模の化学爆発でも十分に起こり得ると反論した。デカップリングを裏付けるには、格納容器の設置を示す衛星画像や放射性核種の検出など追加の証拠が必要になるが、米国はそうした資料を公開していないという。
『Science』は、核実験疑惑を巡る科学的争点を幅広く取り上げつつ、軍備競争へと発展するリスクに焦点を当てた。米国のコロンビア大学で地球物理学を研究するポール・リチャーズ氏は、中国地震局が保有する高精度の地震データが公開されれば、論争が収束する可能性があると伝えた。米国のハーバード大学の物理学者、ジョン・ホールドレン氏も、新たな核軍拡競争の危機に直面していると警告した。
一方、『Nature』は核実験再開そのものに明確に反対する立場を示した。核実験の降下物が健康と環境に及ぼす被害は科学的に確立しており、コンピューター・シミュレーションが物理的核実験を代替できるとの合意も形成されてきたとして、核実験を行うべきではない科学的理由は今も有効だと強調した。
核兵器リスクの低減に取り組む国際科学者団体「パグウォッシュ会議(Pugwash Conferences on Science and World Affairs)」で事務総長を務めるカレン・ハルベルク氏は『Nature』に対し、核拡散の抑止に向けた取り組みが危険な局面に置かれていると警鐘を鳴らした。




















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